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任務先の光島上陸完了

無事着岸し、貨物船は飛行場向けの荷物コンテナをクレーンで下ろしている。最後にシートで梱包された明らかに飛行機が下ろされた。全部で4機、我々の搭乗機であろう。シートで隠れて詳細が見えないが、ゼロ戦に間違いない。北沢さんは、梱包シートを取り除こうとして酒田さんに叱られている。

スーツケースを転がしながら飛行場に到着し驚いた。

極端に窓の少ないコンクリート製の平屋が立っていた。そこそこの広さだが、航空基地としてはあまりにも狭い。飛行機の格納庫はあるが、住居スペースは見当たらない。

そんな疑問だらけの状況になっても、岩崎小隊長は「さあ。ここが俺たちの基地だ、まず部屋の割り当てと船に預けた私物の整理だ。」と平屋の建物の中に入っていく、エントランスは狭く、入ったらすぐにエレベータホールになっていた。

当然下向きの矢印しかないボタンを押すと、すぐにドアが開いた。そのエレベータは人物荷物兼用にしても、広くて天井が高かった。そして岩崎さんは行き先フロアのボタン「B5」を押す。そのエレベータの最終行き先は「B8」だった。つまり基地は地上1F、地下8Fの建物であることを示していた。

その後は挨拶周りと部屋の掃除、風呂や洗濯機などの共有設備の説明、夕飯兼無駄に酒の多い歓迎会と目まぐるしく行事に追い立てられ、着任1日目が終了した。

着任2日目、自衛隊の起床ラッパは鳴らなかったが、6時に起床の放送があり、気力十分だが期待と心配の混じった複雑な気持ちではあった状態で、朝食後に岩崎小隊長から作業指示が言い渡された。

「北沢と伊吹は、これから1週間、フライトシミュレーターで訓練、午後は運動不足にならない様に適宜運動を入れていく。済まんが我々はゼロ戦の受領試験で、搭乗経験ありなので、先に慣熟飛行をさせて貰う。」これで私はモグラになることになった。

「いつ愛機となるゼロ戦に乗れるのでしょうか」と聞くと、「フライトシミュレーター訓練で合格したらだよ。」隣にいた北沢さんが、「俺も伊吹と同じ作業指示だよ、まあ伊吹より期間は短いけど」「とにかく今は頭を切り替えること、貴様が操縦していた機体は、コンピュータやGPSなどの各種センサーで安全に飛べるように作られている。だけど今度の機体は違うぞ、戦闘機だ。遊覧飛行や輸送飛行でもない、飛行機を撃破するためだけに設計された。」

「まあ、今度の任務で飛行機同士の戦闘は無いはずだが、機銃を撃つ機会は必ずある。だから現役のイーグルドライバーを何人も出向させて編成を組んでいる。まあ、そんなに緊張するな、貴様のパートナーは岩崎小隊長だから、小隊長のお尻について飛べば大丈夫だよ」などと話しながら、フライトシミュレーター訓練装置まで案内してくれる。想像とは違ったが任務開始である。

1日目の任務が終了し、4人で夕飯を囲んで今日の反省会となる。岩崎さんと酒田さんはゼロ戦に搭乗し、機体のチェックと機体への習熟度向上をやっていたらしい。

まだ手探りの状態だよと言いながら、岩崎さんと酒田さんはお互いの意見交換をしている。北沢さんも時々質問をしてふんふんと頷いている。私は3人の専門用語・略語についていけ無かった。

夕食兼反省会が終わると、北沢さんが「よし大浴場行こう、少しだけど窓もあって、モグラから少しだけ解放されるらしいぞ」と誘ってくる。「すいません、私は部屋のシャワーで良いです。」と答えると、「なんだよ、船の時から個室のシャワーばっかりで、モグラ状態なんだから気分転換も必要だぞ」と食い下がる。「いやー、お誘いはうれしいのですが…」ともごもごしていると、岩崎小隊長が「どうせお前の目的は息止め競争とか、遊ぶことを考えているんだろ、今日は俺が相手してやる、さあ北沢、大浴場行くぞ」と北沢さん達は大浴場に向かっていった。

そういえば、今日何曜日というか、休日は無いのと疑問を考えられる程度に慣れた朝、いつも朝食後はフライトシミュレーター装置に直行なのだが、岩崎小隊長に呼ばれ、会議室前で酒田さんも北沢さんと合流し部屋に入る。

正面の机に座っているのは確か「おやじ司令」とか呼ばれていた人かな。周りにも見たことが無い人がいる。「佐藤司令、岩崎以下飛行第二小隊全員集合しました。全員敬礼!」自分以外の3名がビシッと挙手の敬礼を決め、少し遅れて自分も挙手の敬礼を行なう。

「直れ」の号令で元に姿勢に戻ったが、この先輩3名挙手の敬礼の姿勢がバラバラじゃないだろうか、挙手の敬礼とは、姿勢を正し、決まった角度で肘を曲げ、掌は下方に向け、帽子の右ひさし部分に指の先がある。それなのに、3人とも形が違う。

しかも佐藤司令は、気にする様子も無く答礼を返す。岩崎さんは続ける「飛行第二小隊は本日から基地周辺上空の哨戒勤務に入ります。慣熟飛行の必要がありますが、フライトシミュレーター装置での研修結果良好であり、任務可能と判断しました。」

佐藤司令は相好を崩し「いやー、良かった、今までは飛行第一小隊のみで、休みなしのぶっ通しで任務をさせていたからなぁ。第二小隊が稼働始めれば、やっと彼らに休みを取らせてやれる。これで第一小隊長から嫌味を言われずに済む。さて、第二小隊諸君は、事故無く頑張って欲しい。以上」「そういえば岩崎、お前の親戚の民間出身の搭乗員がいると聞いているが。」

自分のことを呼ばれたが、どうすれば良いか分からずにいると隣の北沢さんが、背中を強めに押してくる。そのはずみで一歩前に出て「はい、いぶきゆうきです。」と答える。

司令はうんうんと頷きながら、軽く肩をポンポンとしながら「伊吹くん、民間からの志願ありがとう。このプロジェクトの参加者が自衛隊のみだと、いろいろな方面に誤解されやすいので、どうしても民間からの隊員受け入れが必要だった、慣れない機体だし、これから大変なことも多いと思うが頑張って活躍して欲しい。」

会議室を出てエレベータホールで、岩崎小隊長は「上向き」のボタンを押した。「さあ、モグラともお別れだ、ゲーム機などポケットに入っていないな、地上に出ると故障するぞ」と北沢さんと私の顔を見回して確認する。

建物から1週間ぶりに外に出ると、「飛行管制塔兼搭乗員待機所までは徒歩移動、飛行機は頑丈な掩体壕に収納している、対攻撃用では無く、台風などの強風対策が目的、後で見学しておくように。」

搭乗員待機所に整備担当員が荷物引き取りで待っていた。岩崎小隊長が「我が小隊の残りの2名を連れて来た、今日から飛行訓練に参加するのでよろしくお願いしたい、細かい挨拶は昼食時にでも」と言いながらも、整備員さんはなんだかんだと話しかけられる。

岩崎さんが「各自これから飛行服を着用後、飛行訓練に入る。北沢、ここの飛行服はイーグルとは違う点があるので、今日は酒田さんに手伝って貰え、伊吹は私が手伝う。飛行服は更衣室に入れてある。

訓練メニューはそれぞれ別なので、着替え次第訓練開始でいいぞ。北沢さんは更衣室の場所が分からず酒田さんに、「早く行きましょ」と急かしている。

私も気持ちは北沢さんと同じなのだが、岩崎さんが整備担当の人と話をしているので、待ちとなり待機所の案内板を見る。広いスペースに机と椅子。更衣室は整備員用もあるのだろう、結構数がある、個室は2部屋、地下1Fまであるようだが、地下のレイアウトは表示されていない、案内板に空調設備があった、機械の仕組みは分からないが、これは助かる。

などと考えながらいると、北沢さんが飛行服を着用とヘルメット、落下傘を抱えて更衣室から出てこっちに向かって来た、「どうだ、新品だ、かっこいいだろ、うらやましいだろ、スマホでいいから写真撮って」とノリノリだ。

「スマホがここに有って起動したら異常動作確実だ、自分ので試してみるか」と酒田さんが即突っ込む。「そうだよなぁ、それでは北沢飛行隊員、慣熟飛行訓練に行ってきます。」と岩崎小隊長に聞こえる大きな声を張り上げる。岩崎小隊長は「酒田くんの指示をしっかり良く聞いて慎重かつ丁寧に行動するように」と答える。


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