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単座のゼロ戦で3人乗りに帰投します。

「2つしか無かったが。」「師匠、そこは突っ込むところではありません。とにかく外してはダメです。」師匠はうつ伏せで潜り込み操縦席に手を掛けて準備が出来た。次に私の番である、仰向けで師匠の背中を滑りながら、機体の奥に体を押し込む。手を伸ばして操縦席に手を掛ける。師匠のお尻と私のお尻がくっ付き、後頭部同士が接触している状態で一応収まったが、少しの揺れで体が動く、それはそうだ、万歳状態の両腕のみで支えているので、不安定は仕方が無い。

「それでは、離陸する。天候は不安定なので、飛行中の機体揺れは覚悟してくれ、そして何か不都合があれば、俺の体を叩いて合図してくれ、水平飛行とする。どうしても会話がしたかったら、俺の体を何度も叩いて合図してくれ、エンジン回転を落として滑空状態にするから。」現地の作業員に手伝ってもらってエンジンスタート。フルスロットルで地上滑走に入ったのだが、地面の微妙な凹凸で、体が跳ねるので師匠の後頭部と私の後頭部がぶつかる、強制頭突き合いである。

二人で「痛い」「痛てぇ」と叫んでも、エンジン音にかき消されるだけ。20回程度の頭突き合いを行なった頃で、タイヤが地上から離れ上昇態勢となった。これで強制頭突き合いは収まったが、結構機体が揺れる、横滑り程度でも両腕のみで体を支えるのは結構きつい。

この状態で1時間は無理だ、仕方ない水平飛行で、エンジンの回転数が一定になり、巡行状態になったのを確認して、体を少しひねって、師匠の耳元に向かって「師匠、私はこの体制は無理です、着陸時の強制頭突き合いも嫌です、ですので私はうつ伏せになって、師匠にしがみつくことにしたいのですが、どうでしょう」と話かける。師匠も体を傾けで私の耳元で「俺も伊吹の石頭の頭突きは勘弁して欲しい。伊吹は思ったより軽いかったので大丈夫だ。思ったより揺れも多いしそうしよう。」「では、今から体を動かしますので、安定状態でお願いします。」「分かった。こっちはいつでもいいぞ。」座席から手を放し、ゆっくり体を回転させ、師匠の背中にしがみつく。

問題はこんなことになると思わなかったので、晒しを緩めに巻いていること、飛行服越しでも師匠が気付くかも知れない。まあ、知られたら、その時考えればいい。そんな事を考えていたら、師匠が私の耳元で「なあ、伊吹。胸のところで腕を畳まれると、骨が当たって痛いので、腕は体に当たらない様にして、肩に掴まる感じで頼む。」「分かりました。」リスクが上がった。でも骨が当たるのが痛いのは良く分かるので、指示通りにする。

再び師匠が私の耳元で「なあ、伊吹、なんて言って良いか、悩むんだが、伊吹は女の子か?」「はぁぃ、どうしてですか。」「本来は下半身にあるものが無いんだが」そっちかぁ、それは盲点と言うか、考えたことが無かった。

そうなんだ、男の人は下半身に敏感に反応するのか。「それに、ものすごく微かに胸のふくらみも背中越しに感じるのだが。」微かにとは失礼だと思うが、突っ込んでもしょうが無い。ついにこの時が来てしまった。いざとなると案外落ち着くものだ。

せっかく白状するなら、目を見て話したいので、ちょっとむりして、師匠の正面に向き合って話す「はい、師匠の言う通り、伊吹優希の性別は女です。機構の応募が男のみだったので、男として採用されました。男として生活していましたが、正真正銘の女です。」と一気に話した。師匠は目が丸くなり、視線が虚ろになったりしていたが、「そうか、気づいて上げられなくてすまん。」と何とか声を絞りだした。

告白も済んだので、元の態勢に戻ろうとしたら、機体が風に煽られた感じで揺れたので、師匠の体が動かされ、唇が重なってしまった。

師匠は慌てて元の態勢をとり、着陸までピクリとも動かなくなった。エンジンオフとなり、着陸の振動が来た。舗装された飛行場だが、多少の凹凸はあるので、振動に合せて師匠の背中を頭突きしてやる。師匠はそれでもピクリともしなかった。

地上滑走が終わり、掩体壕に到着したようで、酒田さんから「お疲れ様、無事に到着だ、途中雨になったんで、機体は濡れているから注意して降りてくれ。」「まずは伊吹から、ご苦労様でした。」と操縦席ら手を出して引っ張ってくれる。

何となく悔しいので、さりげなく師匠のわき腹をつまんだりしたが、ピクリともしなかった。「さあ、北沢の番だ早く上がってこい。」「はぁ、同じ態勢でいたから、体がこわばっただと、1時間ぽっちで何言ってんだ。お前らしくも無い。」

「あっ、小川整備員、申し訳ないが、重要な報告があるので、山本1佐が戻られたら、酒田が探していると伝えて欲しい。申し訳ないが、A島に着陸時にゼロ戦に2機の脚を折ってしまった。

詳細の状態は伊吹のカメラで撮影したので、いまから現像するので、修理対応準備をして欲しい。」私は少し離れたところで説明を聞きながら、師匠さんが降りて来るのを待っていた。数分して師匠がやっと機体から降りて来た。

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