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通常の索敵任務です。少しのんびり感じの任務です。

翌朝は索敵一便、朝6:00離陸なので、5:30には飛行服に着替えて、掩体壕で機体の飛行前点検である。先生たちは朝一便のトラックなので、まだ寝ているはず。

「まず昨日のポイントの周囲50kmを念のため確認、避難飛行場の候補として例の島を撮影、フィルムは入れ変えているな。」「はい、大丈夫です。」

「後、まだ情報公開されていないのだが、水上機の導入が予定されている、水上機の離発着に適した凪状態の湾があることも必須条件。」「昨日もいろいろ撮影してくれたようだが、百聞は一見に如かず。撮影はしっかりして、貨物船が帰る時に渡して現像してもらいたい、」「はい、分かりました。」

「岩崎小隊長、この辺りが昨日のポイントです。」「どうだ。」「はい、不自然な海面色は有りません、移動済みと思われます。」「まぁ、当然だよなぁ。居座っていたらこっちが驚く。」

「小隊長、そろそろです。」「あぁ、分かっている、ここが例の島なんだな。」と言いながら、2機のゼロ戦は島周辺を飛び回る。「この島は米軍の飛行基地として稼働していたらしいから、飛行場は綺麗に残っているな。構造物も複数確認。まあ使える構造物だと良いんだが。出来れば上陸したいが、まあ方法は考えよう。貨物船航路から少し離れているが、条件は概ね満たしているな。候補として推薦できそうだ。良かった。」

帰投してみると、飛行基地がざわついている。掩体壕の山本整備員と話をすると、まずは昨日の国籍未確認の潜水艦の話が伝わっているため、そりゃ気にするなという方が無理な話であるが、岩崎小隊長が別途説明するので、憶測で騒がない様にと注意をしている。

次の索敵任務は30分遅らせ10:00となった。山本整備員は昨日の話を聞きたいらしいが、朝ご飯を食べたら直ぐに戻って来るからと言うことで我慢してもらった。急いで食堂に行き軽めの食事をして、食堂でおにぎりを2つ用意してもらい掩体壕に向かう。

山本整備員は給油を終わらせ、待っていた、というか待ち構えていた。昨日の事実の話と、その後の搭乗員の見解、司令を含めたこれからの対応について、話をした。山本整備員が一番驚いたのは、飛行機から潜水艦の艦影を見つけたことだった、思わず。「驚くことはそこですか」と突っ込むも、「飛行機・ヘリなどが潜航中の潜水艦を発見した話は聞いたことがないです、さすがです。運の伊吹さん」どうやら整備員の皆さまには、面倒ごとを持ってくる「運の伊吹」と呼ばれているらしい。心外であるが事実なので言い返せない。

任務飛行まで時間もあるので、山本整備員と意見交換と言うおしゃべりをしてもらった。経歴を聞いて驚いた。防大卒のエリートだった、卒業後は兵器開発関連の仕事が多かったらしい。このプロジェクトの早期に見つかった「電子機器問題」の対応のため、即時にゼロ戦製造メーカに出向し、設計製造を担当したらしい。「何でゼロ戦を製造したんですか」とずーと疑問だった理由を聞いて見た。「早く作れるから」と簡単に答えられてしまった。

「先の大戦の戦闘機で製造数が一番多いこと、設計図等の図面が残っていること、ゼロ戦の実機が日本に残っていて最悪はバラバラしにして調査ができること、の条件を満たすのがゼロ戦だったということ。幸い製造メーカーの三菱は現在でも飛行機を製造しているので、工場も手配可能。つまり今回のプロジェクトの最適解がゼロ戦ということ。」

「すいません、そんなエリートな山本さんが、何で私の専属整備員なんてやってるんですか、普通なら整備隊長とかですよね。」「はははっ、そうかも知れないけど、僕の現在の最重要任務は、民間から志願して搭乗員をしている伊吹くんの愛機を整備して、いつになるかは分からないが民間に無事に戻すこと。それ以外の任務は無いよ。」

「私ごときが何でそんなに大事にされているんですか」「本当に面白いね、伊吹くんは。まず飛行機が墜落とかの事態となったら空自衛官なら2階級特進で済むけど、民間搭乗員に何かあったらいろいろと揉めるから。」「それと、伊吹くん自身の影響力を勘案してかな。」

「私に影響力なんて無いです、ただの搭乗員ですけど。」「これでも僕は空自1等海佐でね、この任務を受けるに際して伊吹くんはとても稀な存在なので、そばにいて欲しいと。かなり上の方から直接言われてるけど、僕も良く分かってないんだ。」

「わかりました。最後に一つだけ教えてください、私の性別については?」「可愛い乙女と理解しているよ」「ありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。」「こちらこそ、一緒に頑張っていきましょう。」

「そろそろ、2回目の索敵に出発しようか」と岩崎小隊長が戻って来た。「実験棟の菅井小隊長と話をしたが、よく分からないというところだ。ただ、大騒ぎになっているのは事実らしい、でも索敵任務の時間だ、出発しよう。」

「酒田と北沢が帰投予定時間だが、見えるか」「この角度だと、分かりにくいです。」「まあ、避難飛行場の候補を探す任務だがら、時間いっぱいまで粘っているんだろう。編隊離陸でお先に行かせてもらおうか。」

無事に離陸をして、索敵ルートに入る。「伊吹、これから射撃訓練をしようか。昨日の潜水艦は命令があれば、機銃攻撃か爆雷攻撃の対象になる。対空戦なら特殊飛行も必要だが、海面の攻撃目標に特殊飛行は必要ない。まずは高度4,000mで実施しよう。」

「はい、試射以外では始めてです、ちょっと楽しみです。」「伊吹は、ループ系の特殊飛行は、北沢とのフライトシミュレーター訓練で基本的には仕込まれいるで良いな。「はい、失速系危ないからダメ言われたのと、イーグルでは実施出来ない系以外は、教わりました。でもあくまでシミュレーター訓練ですよ。」「では、単機で可能な一撃離脱から実施しよう。射撃目標を流したが分かるか」「はい、分かります。」「その吹き流しの先端が目標。俺は直線で同高位、同速度で機動するから、伊吹は高度を上げて、ダイブで目標を射撃して、再上昇する。まずは、感覚を覚えるために、吹き流しの横50mくらいをダイブして見てくれ。ポイントはダイブ中に降下角度を変更しないこと。後、感覚を覚えるまでは射撃しないこと、俺の機体に絶対に突っ込まないこと。慣れるまで反復操作をしてくれ」

「はい、分かりました。」北沢さんが、いつも言ってたっけ、「機銃のコツは、一度始めた機動を変更しないこと、そして相手機に接触する位置関係を頭にイメージして接触位置のぎりぎりで射撃を終了して離脱。射撃開始位置では無く、離脱開始位置で考えること。」さあ、落第点をもらわない様にしないと、射撃なんて民間機では絶対出来ないから。

何回か試してどうもしっくりこないというか、はっきり言えば「全然ダメでーす」状態。目標機だって動いている、それを計算して目標地点を決めてダイブを始めなければ行けないのだが出来てない。もちろん暖降下で行けば可能だろうが、そんな飛行では後ろ向きの機銃を持っている機体からメッタ撃ちになるだけ。

今度は、思い切り外すつもりで、小隊長機から1,000m先行してダイブ開始。最後は小隊長機が視界から見えなくなったが、悪くなかった。なるほどそういう事か。

「伊吹、上出来だ。吹き流しを目標にして射撃すること。でも無理は禁物、吹き流しをペラで巻き込んだりしたら、どうなるか分るな、確実にできると確信した時に実施すること。7.7mmを10連射、そして俺に絶対当てるなよ。姪っ子に撃たれて殉職しましたなんて、シャレにならないからな。」「はい、大丈夫です。」

ダイブポイントに向かって先行する。風防越しに小隊長機の位置を確認してダイブ開始。最高の進入角度、微修正の必要無し、後は射撃、退避の1秒間に集中するだけ。

標準器のOPLに入ってくる小隊長機の大きさで距離が分かる。頃合い良しで10連射、即離脱。まったく射撃って良いじゃない。火薬の匂いが機内に入ってくるとか、発射の衝撃が微かに機体を震わす感じ。こりゃたまらん。

「小隊長、射撃終了です。」「ふぁぁ」と不思議な叫び声が聞こえて来る。「優希に撃たれるかと思って、本当によかったよぉ。こんなに怖い思いは、2度とごめんだよぉ。」「和伸おじさま、そんなにへたくそでは無いと思うのですが。」「じゃ、逆の立場でやって見るか」「うーん、やっぱり怖いから嫌です。」「とはいえ、俺も練習は必要なので、今度目標機になってもらおう。」「怖いから嫌です。」「怖いから嫌です。」「怖いから嫌です。」「大事なので3回言いましたから。」「はははっ、まぁあ、上官の命令は絶対だから、今度楽しみにしてなさい。」

「さてそろそろ着陸だ、編隊を解くぞ、俺から先に下ろしてもらう。」「はい、分かりました。」着陸して掩体壕まで誘導されて、機体主翼から滑り降りたら、小隊長と山本整備員が待っていた。

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