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輸送船の護衛機到着しました

岩崎小隊長ある方向を見て「おっ、着てくれたようだぞ」と、船首方向を見つめる。

残りのメンバもチーム長の見ている方向を見るが、酒田さんと北沢さんは、見つけられないようで視線をいろいろ動かしている。自分は小隊長が気付く前から空に「黒い点」と表現するしかない点に気が付いていたので、「小隊長、あの空に浮かんでいる2つの黒い点のことですか?」と質問をする。

岩崎さんは「伊吹には点が2つに見えるのか」とちょっと驚いたような顔を自分に向けてきた、「はい、始めは1つの点だったんですが、今は2つに分かれて見えます」と答えると、「驚いたな、伊吹の視力は俺より上なのか、視力には自信が有ったんだが。」と笑顔になっている。

暫くすると残りの2人も見えたようで、貨物船の縁に近寄り身を乗り出すように黒い点の方向を見つめている。「すいません、あれ何ですか」と3人に聞こえるように問いかけると、酒田さんが「もうすぐ分かる」とそっけない返事を返してくるが、声の調子で興奮しているのが分かる。

もうすぐ分かると言われ追加の質問を止められれば、おとなしく待っているしかない。やがて2つの黒い点は、だんだんと大きくなりその形状が分かるようになり、何が近づいて来るのか分かった。「でもなぜに太平洋のど真ん中に存在するのか?」「なぜこの貨物船に近か寄って来るのか?」頭の中が「?」で埋まっていると、その「?」を吹き飛ばすようなレシプロエンジンの爆音と、セスナ機程度の大きさでだが桁違いの高速で飛行機が貨物船の横を通過していった。

北沢さんは興奮状態で「来た、見た、乗りてー」と叫ぶ。

酒田さんと岩崎さんは冷静を装いながら感激しているのが手に取る様に分かる。

「三菱製 零式艦上戦闘機 五二型、全幅 11.0m、全長 9.1m、最高速度は時速 565 km、ゼロ戦だ」と岩崎さんがつぶやくように説明をしてくれる。

貨物船の乗員も次々と甲板に上がってきて、ゼロ戦に向かって手を振っている。当のゼロ戦は翼を上下に動かしながら、貨物船から遠ざかって行ったが、しばらくすると貨物船の上空を旋回しながら飛行を始めた。

岩崎さんは、頭の中の「?」マークが消えず、ポカンとしている自分に話かけてくれる。

「これは機密事項である、本来は目的地到着後に説明すべきだが、せっかく貨物船の見張りをしている実機がいるのだから、少し説明しよう。あのゼロ戦は今回のミッションに必要な機体だ。もちろん先の大戦時に製造されたものでは無く、今回新しく製造された機体だ。そしてもう理解が出来たと思うが、われら小隊が任務として搭乗する機体だ。民間の育成だが優秀な成績で卒業した貴様なら乗りこなせると信じている」と超簡単に説明を終わらせる。

「あともう一つ、ゼロ戦が見張りに来てくれたということは、目的地に近いということだ。360度が海面に見えるが、よく見ると島もあるし、サンゴ礁で海面が浅くなっていて、海面の色が違うところもある、万が一の不時着時や重要な目的を達成するために、この辺りの海底地形や水深などを記した海図を頭に叩き込むことを忘れないように」で締めくくられた。

私は「はい、分かりました」と答えるのが精一杯だった。


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