病院に到着、当然怒られます。
司令はおもむろに腕時計を見せるよう見ながら、「ごめんね、10分後に呼ばれちゃって、すぐ行かないといけないんだ。2人は病院に直行してくれ、病院は10Gだからね。」誰も突っ込まない
秘書さんが作業したにしてもさすがにここまで手配して貰ったのだから、一応突っ込みを入れることにした。「ところで司令の腕時計は地上でも大丈夫なのですか」「そうなんだよ、伊吹ちゃん、この時計はね、SEIKO製の自動巻きメカニカルの世界最高クラスのキャリバー9S85を搭載したものだから、大丈夫なんだよ。」
「ということは、その時計なら私も飛行任務中で使えるということですね、飛行中の時計は首からぶら下げてるので、慣れた腕時計が欲しいなと思っていたんです」「なるほどねぇ、でも伊吹ちゃんのお給料ではちょっと買えないかなぁ」
すかさず山崎小隊長が突っ込む「で、司令その新品らしい時計はまさか、「実験名目」で機構として購入された訳はありませんよね」司令は横を向いてヒューヒューと口笛を吹く真似をする。
「だって欲しかったんだもん、それにここを辞める時に返却すればセーフだもん。」とすっとぼける。この司令はたぬきだ。まあ時計自慢も聞いてあげたので手配のお礼も出来たかな。「それでは司令失礼します」「失礼します」と司令を残してエレベータホールに向かって歩き出すと後ろから「病院は1フロア上の10Gだからそこの扉から階段から上がった方が早いよ。」くじけない人だ。「ありがとうございます。そうさせて頂きます」と答えて階段を使うことにした。
階段を上がると、正面が病院の入り口になっていた。病院としての営業時間は過ぎていたので、院内全体の照明はほとんど落ちていたが、白衣の若い女性が受付付近に立っていた、私たちの姿を見つけると、扉を開けて、岩崎さんと伊吹さんですね、お待ちしておりました、どうぞこちらへと診察室に案内される。
「青木」とネームプレートを見て、岩崎さんはギョとした顔になり固まった。ん?と思いながら「失礼します」と入ると、すごい美人がいたその辺の女優なんか目じゃないスタイルと容姿、青木女医降臨って感じです。岩崎さんは、「お久しぶりです、青木先生」岩崎さんが少し上ずった声で言葉を絞り出す。
「まあ、久しぶりだけど、1か月ぶりかしら、急な転属命令で、私も最近着任したのだけど。1時間くらい前に、今日の勤務も終わりかと片づけをしていたら、佐藤准将本人が飛び込んで来て、急いで見てもらいたい操縦員がいるので、待機していて欲しいっていうから、何事かと思ったら、岩崎二尉が、可愛い操縦員をしごき倒して、病院送りの要診察にするとは思わなかったわ」
「いえ、決してそういう訳では無く…」「まったくブリーフィングの音声は聞かせて貰ったので、大体は把握しているけど、医学的な目線で補足はあるかしら。」岩崎小隊長は「伊吹操縦員の機体は急降下中に機体がぶれることのない見事なものでしたが、その後の引き起こし操作にためらいが見られましたので、ブラックアウト直前の状態かと考察します」「そりゃ10Gで急降下させれば、それくらいの症状はでるわよ」と即突っ込み、飛行機の操縦にも知見がある先生のようだ。
「それでは、鬼教官は外で待ってて、伊吹操縦員の問診を始めます。」「宜しくお願いします。」と岩崎小隊長は部屋を出る。「それでは伊吹さん、現時点で体の異常はありますが、頭が痛いとか、手先にしびれがあるとか、何となくだるいとか、何でもいいの、どうかしら。」
「現時点であれば、特に何もありません、強いて言えばお昼を食べてないので、お腹が減っています、飲み物も欲しいです。」「はははっ、岩崎の姪っ子は、岩崎同様に、頭のねじが少し飛んでるのね、実際に飛ばしたのは主翼板を止めてるビスだけど」あれ、突っ込まれてる、なんかやっちゃった?
「では服を脱いで下着姿でベッドに横になって」作業着を脱いで、下着と上はさらしのままでベッドに横になる。先生は少し驚いた顔になって「ちょ、ちょっとそのさらしはいつも巻いているの?」「はい、自室以外は巻いています」
「当然、巻いたまま操縦しているの」「はいそうです」「呆れた、さらしを巻いた状態は心臓からの血流を弱めることと同じ、その状態で急降下10Gってことは12G相当の適応能力があるってこと?」「現役操縦士でもここまでの人は何人いるか…」
「申し訳ないけどさらしは取ってもらっていいかしら」その後は、「痛みや違和感があったら、すぐに言ってね」と言って、上半身を中心に押され、揉まれるマッサージ状態となった、はぁ、先生気持ちいいですぅ。・・・・首筋が冷たい感触で覚醒した。先生はなぜか胸を揉んでいる。「はい終了ですよ。」「ふぁい、ありがとうござりました」「まずは、首筋まで垂れたよだれを拭いて頂戴。」先生すいません、うつ伏せから仰向けにされたのも気が付かない完全に爆睡していました。
「それと、今から問診結果を岩崎くん同席で説明するから、着替えて頂戴、岩崎は叔父さんなら、恥ずかしくないよね、人間ドック用のガウンがあるからそれを着ればたぶん大丈夫」
先生は山崎小隊長に苦情を一通り言うと、「では、問診結果の説明ね、血圧、心拍に異常は無し。触診で少し顔がむくんでいる気がするけど、元からかも知れないし問題無し」先生。それって、太ってるって言ってますよね、そりゃ先生見たくスタイルは良く無いですけど、太ってはいないとおもいます。断固抗議します。
「それから、これからの予定だけど、今から血液検査で血を少し取らして頂戴、宿泊部屋は看護師から部屋の鍵をもらって、伊吹さんは、明日は人間ドックと脳ドックの両方を実施しますので、食事は20:00までね、申し訳ないけど消化の良い軽めにして頂戴、飲料は22:00までだけど、アルコールだけは今日は我慢して頂戴。」
明日の診察は9:00にここに来て頂戴、検査が終了したら、その後はちょっと待ってもらって、夕方に検査結果を説明するから、検査結果によっては明日も泊まる想定はしておいてね」
「検査の報告はこっちと飛行基地を繋いだ会議室で実施するから。」
青木先生は、インカムで「川野ちゃん、この子の採血お願いします。どうせ明日も採血するのだけど、今の状態と比較してみたいので、標準パターンでお願いします。」




