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防衛隊員が実験棟に向かいます

「そろそろ、赤道を超えるぞ、ちゃんと赤い線があるか、監視を行え」と上官からの指示が飛んできた。

私は「はい、監視します」と答え、乗船している船の監視所から海を見つめる。

顔の汗を一拭いして海面を見つめる。そこには透明度の高い青い海がただ広がっていた。島影も無く360度見晴らす限りの海が広がっていた。

「艦長から連絡する。本船はただいま赤道を通過した、繰り返す、本船はただいま赤道を通過した。実験棟がある光島への到着は予定通り。」

「おい、赤い線は見えたか?」と小隊長の声に対して、「すいません、見つけられませんでした」と大きな声で返事をする。

「まだまだ未熟者の新人だな」と半分笑いながらの声。こっちだって冗談くらい分かっているが、「申し訳ありませんでした」と小隊長に返事をする。

「いいか、海面も大事だが、今の俺たちの任務で大切なのは海中・海底の状態確認だぞ、海底の状態は常に違っていることと、目印になるものが、何か考えながら監視を行なうこと」と先ほどとは違いまじめな声色で指示を出す。「はい、分かりました」と返事をするも、それが別の目的の意味を含んでいることは、十分承知である。

小隊長の顔をみると指示の内容を理解しているのが分かったのか、軽くうなずく。

「ずいぶんと遠くまで来たよな、目的地はもう少し、そうすれば船旅も終わり、俺たちの任地に到着だ。船旅が終われば厳しい任務が待っているからな、気合を入れて行けよ」と肩を軽く叩かれる、振り向けば年長の同じ小隊メンバだった。

「東京で簡単な説明が有って、予防ワクチンを打たされて、着替え程度の荷物のみで、飛行機に乗せられ、バリ島で貨物船らしきこの船に乗り換え、現在目的地である赤道近くの島まで直行。詳細任務は厳秘につき現地で説明と訓練だと。」

「しっかし熱いな、本当ならTシャツに短パンになりたいところだが、任務中なのでそうもいかないけど、でも貴様は少し几帳面すぎないか、多少は制服を着崩しても、この暑さだ、誰も文句は言われないぞ」と、ギリギリセーフ、いやアウトでしょまで着崩した状態で、有難いお言葉を頂いたが、まだまだ緊張感もあり、本当に暑いのだが、「はい、ありがとうございます」と返事をするのが精いっぱい。

「おーいお、赤道の赤い線は見えたか」と船の前方の方から同じ小隊メンバの別人が近づいて来ながら話しかけて来た。

「そういうお前はどうだった」と小隊長が即突っ込みを入れる、言われた当人は「ばっちり見えました」と軽口を叩き、「新人はだめだったか、まあ任地はほぼ赤道上と言ってもいいから、きっと見えるようになるさ」と軽口の連発。

「俺も同じ小隊メンバだから、これから宜しく頼むな」と、肩をパンパン叩く、ちょっと痛そうな顔をしたら、「すまん、すまん、しかし貴様は体の線が細いな、これからの任務は筋肉もある程度必要だぞ、時間があったら筋トレ・ランニングをすること」と軽口一転、アドバイスを頂くと同時に体のラインを上から下までチェックを入れられる。

「4人、全員揃っているようだな」と小隊長から声が掛かる。

「お疲れ様です。」と小隊員は、即時に見事な敬礼してから笑顔になる。その姿を見て慌てて「お疲れ様です。」と同時に不細工な敬礼を行う。小隊長は少し脇を締めた変則的な答礼を返す、そして3人の顔を見回しながら、「せっか小隊全員の4人が揃っているので、自己紹介と行こうか。」と提案する。

「では飲み物を取ってきます」と軽口の上官が、ダッシュで船内に消えて行く。「次回からはお前の役目だぞ」残り2人の視線が突き刺さる。すいません気を付けますと心の中で謝る

冷えたお茶のペットボトルが配られると、小隊長が軽く乾杯のポーズを取りながら、「私は岩崎だ、これから小隊長として、この隊を率いて行きたいと思う、そんな堅くならなくて良いよ、最低限の礼儀で十分だ」。

「次席の酒田だ、顔見知りもいるが、改めて宜しくお願いしたい。任地到着後は厳しい訓練が待っている、しっかり頑張って欲しい、特に他の小隊に負けるのは絶対に無い様に。」と、厳しい口調とは正反対の優しい笑顔を向けてくれる。

「3番手の北沢です。著名な諸先輩と同じチームでミッションができることを光栄に思っています。これからご指導宜しくお願いします」と、見事な直立不動の姿勢で挨拶をする。

最後に自己紹介の順番が廻って来た。今までのあいさつの様子から3人とも顔見知りの様だし、酒田さんと北沢さんはお互いを良く知っているようだ。もしかしたらここに来る前に同じ場所で働いて居たのかも知れない。

さあ、自分の番だ、第一印象は大事と心の中で復唱して始める「伊吹と申します。岩崎小隊長の推薦で民間からきました。初心者同然ですが、ぜひご教授の程、宜しくお願いします。」と無難に挨拶する。

「初心者なんていらないよーん」と北沢さんが軽口を飛ばして来る。冗談だと分かっているが、緊張感もあり全身から汗が噴き出すのが分かる。

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