過去世で父と圭は、暗殺?
「くすっ・・・」
「楓も力つけたのね・・・この時代にまで戻るとは・・・」
熊野比丘尼は、少し笑い、その顔をあげた。
圭は驚いた。
「あ・・・貴方は香苑の・・・」
熊野比丘尼は、香苑の奥様の顔をしている。
熊野比丘尼は、頷いた。
「そう・・・その通り・・・」
「そして、楓は私の娘・・・楓も、熊野の御神霊の力を受け継いでいるの」
そして、まさに驚く言葉を、圭に
「ところでね・・・貴方は・・・この時代では・・・皇子なの」
「え?」
圭は、脚が震えた。
熊野比丘尼は、圭に頭を下げた。
「そして貴方のお父さんは、先の帝、それで神職があのように額を」
圭は、頭が、かなり混乱する。
もはや、言葉を発することが出来ない。
「お近寄りに・・・」
圭は、熊野比丘尼に手招きをされた。
そのまま、熊野比丘尼にまぶたを、なでられる。
圭は、熊野比丘尼に、ゆっくり柔らかく抱きかかえられた。
とても不思議な良い香りを感じると、途端に意識が遠くなっていく。
「楓では・・・まだ伝えられないことがあるの・・」
比丘尼の声が圭の耳に響いた。
森の中のようだ。
圭の背中は焼け付くように痛む。
とても、身動きができない。
圭は、矢のようなものが、背中に突き刺さっているとわかった。
そして、誰かに背負われながら、森の中を移動している。
気が遠くなるような痛みのなか、横を見ると、山伏のような姿をした人々に囲まれている。
圭は思った。
自分を背負っているのも山伏なのか。
しかし、何故、こんな目にあっているのか、全く理解できない。
しばらくして、圭の耳に、滝の落ちる音が聞こえてきた。
そのまま、古い社の、祭壇の前に圭の身体が運ばれていく。
圭は、社の中で、寝台のようなものに乗せられた。
圭の耳に、懐かしい女性の声が聞えて来た。
「急いで・・・」
この声は・・・圭の母の声。
「お母さん・・・」
圭は、痛みで目はほとんど明けることが出来ないけれど、この声、額に触れた手の温かみは・・それだけで母とわかる。
「どうして・・・こんなことに・・・」
母が山伏に問いかけている。
山伏が震える声で答えた。
「后が、この皇子を亡きものにしようと・・・狩りの場で・・・誰かに矢を・・・」
「この皇子を可愛がる帝の目を盗み・・・」
母の声が沈んだ。
「先の帝は・・・」
「狩りの日の前日、突然后の部屋で・・高熱を出され・・・
今は伏せっておられます・・・」
「むごいことを・・・」
母は、圭の身体を抱き起こし、泣いている。




