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涙は風の中  作者: 舞夢
銀座香苑へ
21/28

圭は、銀座香苑の応接室で、驚く。

車は銀座に着いたようだ。

少女は、圭の胸にしがみついて、かなり泣きじゃくっていたけれど、今は泣きやんでいる。

圭が、紳士にドアを開けてもらい、車から降りると、銀座香苑と書かれた大きなビルの前。


「ようこそ・・・お出でくださいました・・・」

「銀座香苑でございます」

先日声をかけられ、今朝も電話をかけてきた婦人が立っている。


圭「はい・・・お招きにあずかりまして・・・」


婦人が、少女に声をかけた。

「あら・・・楓・・・」

少女は泣きやんでいるものの、手はつないだままだった。

圭は、少女の名前は楓ということが、わかった。


「しかたないわね・・・全く・・・」

婦人が申し訳なさそうに、苦笑をしている。

そして、その頭を下げた。

「とにかく・・・詳しい話は、中で・・・」


圭は、楓と手をつないだまま、香苑のビルに入った。

外から見ても、また中に入っても高級なビルと思う。


圭「藤のお香ですね・・・とても好きです。」

香苑店内の広いホールに藤の魅惑的な香りが漂っている。


婦人は、また圭に頭を下げた。

「はい・・・ありがとうございます」

「後で・・・お店もご覧になってくださいませ」

「地下1階から、3階までがお店になっております」


婦人と楓と圭の3人でエレベーターに乗った。

ガラス張りのエレベーターからは、各階のお店の様子が見える。


圭「かなり にぎわっているようですね・・・」


婦人は満足そうに店内の様子を見る。

「はい・・・ありがとうございます」

「いつの世も、香りは人をやすらぎの世界に導き、また心を高める不思議な魅力ゆえ・・・なのでしょうか」


そのエレベーターは7階でとまった。


「こちらへ・・・」

圭は、婦人に促されて応接室に入った。

楓は、まだ圭の手を握って離さない。


その圭は、応接室に入った途端、驚いた。


「ようこそ・・・おいでなされました・・・」


「え?」

圭には、聞き覚えのある顔と姿。

どういうわけか、応接室に 榊原教授が立っている。



「教授・・・これは・・・」

圭には、全く状況がよくわからない。

どうして、教授がここの部屋にいるのか・・・

どうして、学生の圭にそのような丁寧な言葉づかいをするのか・・・


「おかけになってくださいませ・・・」

圭が、少し戸惑っていると、婦人から座るように促される。

婦人は、笑顔になっている。


「大丈夫よ・・・貴方・・・」

圭は、楓にも促されて、ソファに腰をかけた。

かなり上質な革張りのソファで、身体全体を包み込まれるような安心感がある。


「楓・・・まだ貴方というには、早いと思いますよ・・・」

婦人が、苦笑しながら楓に話しかけた。


楓の顔は、ぽっと赤らんだ。

つないだ手は、ずっとそのままになっている。




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