車の中には、昨日見た少女が。
授業は正午に終わった。
圭が、大教室の階段を上り、廊下に出ると、上品な紺のスーツを着た初老の紳士が立っていた。
「銀座香苑でございます。お迎えにあがりました」
本当に丁寧な話し方をする。
「はい・・・これから伺おうと思っていました」
圭は、 少し緊張してしまう。
紳士と、廊下を歩き、校舎の玄関の前に出ると、黒塗りの高級外車が停車している。
初老の紳士に、高級外車のドアを開けた。
「では・・・こちらへ・・・」
「はい・・・」
圭は、少し不安を感じながらも、そのまま乗り込む。
「あ・・・」
そして、驚いた。
車の中には、昨日自宅にお線香を届けてくれた少女が乗っている。
「待っていたよ・・・ずっと・・・」
少女は、じっと 圭の目を見つめる。
圭は、不思議でならない。
「待っていたって・・・」
しかし、少女は、真剣な顔。
「いいの・・・私の目を見て・・・」
圭の心臓の鼓動は、とても激しくなる。
しかし・・・不思議に懐かしい・・・
圭は、心の中の深い場所からこみ上げてくるものを感じた。
何故かとても 愛おしいような感じもある。
車はいつのまにか走り出しているけれど、圭は、少女の目に吸い寄せられ、とても周りの景色など、見る余裕がない。
「ずっと待って・・・やっと・・・逢えたの・・・」
少女は、突然、わっと泣き出して圭の胸にしがみつく。
圭は、そのまま、少女の身体をぎゅっと抱きしめた。
「うれしい・・・」
少女は、ずっと泣きじゃくっている。




