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涙は風の中  作者: 舞夢
圭は白檀の香りの中、過去を思い出す
16/28

圭の追想(14)圭は、朝ごはんの後、綾乃を駅まで送る。

圭は、翌朝、綾乃の声で目を覚ました。

「坊ちゃま・・・朝ごはんですよ・・・」

慣れ親しんだ綾乃の声だった。

圭は、ずっと一人だったので、少しほっとした気分。

「でも・・・今日だけなんだ。」

圭は、階段を降りていく途中、現実に気が付いて、少し寂しい。



「坊ちゃまと朝ごはんするの久しぶり・・・この家だと私ぐっすり眠れるし、すごくうれしい、ほっとする」

綾乃は、本当にうれしそうだ。


圭も久々に笑顔になる。

「うん・・・すごく美味しい・・・」

綾乃

「うん、それは、坊ちゃまのこと一番詳しいのは綾乃ですから・・・美味しく作れるのは当たり前」

「だから、しっかり食べてね・・・」

圭は食が進む。

「うん、ほんと美味しい」


その後、圭は、朝ごはんを済ませ、少し話をしてから、綾乃を駅まで送った。


綾乃は歩きながら涙顔。

「坊ちゃま・・本当に身体には気をつけて・・・」

「うん 綾乃さん 時々電話するよ」


綾乃はいろいろと話す。

「うれしい・・・坊ちゃまの声聞くと元気になれるの」

「坊ちゃまは、どんな女性を好きになるのかなあ・・・」

「でも・・・坊ちゃまには・・・やっぱり・・・」

綾乃は、そこまで話して、口を閉じた。


圭には意味不明。

「え?何?綾乃さん」


綾乃は、意味深な顔。

「お葬式の時に気が付かなかった?」

圭は、さっぱりわからない。

「うん・・・全然」


「あーーー全く旦那さまと同じ・・・鈍感だ」

綾乃は、にこにこ笑い、「まあ・・・いずれ・・・わかります」とだけ。


圭は、ますますわからない。

「綾乃さん、全然わからないよ・・・」


綾乃は、笑った。

「昨日も言ったけど、今は言えない」


電車が来て綾乃は、乗り込んだ。

綾乃は圭に手を振りながら、相変わらず笑っている。


圭は、綾乃を送ったあと、また歩いて家まで戻る。

これで、本当に一人ぼっちになる。

圭は、綾乃の不思議な言葉を気にしつつ、ふんわりとした春の空と風の中を歩いていた。

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