圭の追想(14)圭は、朝ごはんの後、綾乃を駅まで送る。
圭は、翌朝、綾乃の声で目を覚ました。
「坊ちゃま・・・朝ごはんですよ・・・」
慣れ親しんだ綾乃の声だった。
圭は、ずっと一人だったので、少しほっとした気分。
「でも・・・今日だけなんだ。」
圭は、階段を降りていく途中、現実に気が付いて、少し寂しい。
「坊ちゃまと朝ごはんするの久しぶり・・・この家だと私ぐっすり眠れるし、すごくうれしい、ほっとする」
綾乃は、本当にうれしそうだ。
圭も久々に笑顔になる。
「うん・・・すごく美味しい・・・」
綾乃
「うん、それは、坊ちゃまのこと一番詳しいのは綾乃ですから・・・美味しく作れるのは当たり前」
「だから、しっかり食べてね・・・」
圭は食が進む。
「うん、ほんと美味しい」
その後、圭は、朝ごはんを済ませ、少し話をしてから、綾乃を駅まで送った。
綾乃は歩きながら涙顔。
「坊ちゃま・・本当に身体には気をつけて・・・」
圭
「うん 綾乃さん 時々電話するよ」
綾乃はいろいろと話す。
「うれしい・・・坊ちゃまの声聞くと元気になれるの」
「坊ちゃまは、どんな女性を好きになるのかなあ・・・」
「でも・・・坊ちゃまには・・・やっぱり・・・」
綾乃は、そこまで話して、口を閉じた。
圭には意味不明。
「え?何?綾乃さん」
綾乃は、意味深な顔。
「お葬式の時に気が付かなかった?」
圭は、さっぱりわからない。
「うん・・・全然」
「あーーー全く旦那さまと同じ・・・鈍感だ」
綾乃は、にこにこ笑い、「まあ・・・いずれ・・・わかります」とだけ。
圭は、ますますわからない。
「綾乃さん、全然わからないよ・・・」
綾乃は、笑った。
「昨日も言ったけど、今は言えない」
電車が来て綾乃は、乗り込んだ。
綾乃は圭に手を振りながら、相変わらず笑っている。
圭は、綾乃を送ったあと、また歩いて家まで戻る。
これで、本当に一人ぼっちになる。
圭は、綾乃の不思議な言葉を気にしつつ、ふんわりとした春の空と風の中を歩いていた。




