圭の追想(11)父の葬儀
圭は、綾乃には、病院から連絡をした。
「わかりました・・・すぐにでも」
綾乃は、夕方に病院に着いた。
「だんな様・・・」
綾乃は、しばし父の遺体にすがって泣いていた。
「綾乃さん・・来てくれてありがとう」
圭は、綾乃の肩にそっと手を置いた。
綾乃は、ただ泣くばかり。
「坊ちゃま・・・ごめんなさい・・・綾乃がしっかりついていてあげられなかった・・・」
圭は、泣きたいけれど、こらえた。
「いや・・・これが父の運命だったのだと思う」
「今頃 母さんと2人で散歩していると思うよ」
「そして、こっちを心配そうに見ている」
綾乃は、圭にしがみつき、激しく泣いた。
「坊ちゃま・・・」
圭は、心を必死に鎮める。
「大丈夫だよ・・・綾乃さん・・・父さんも母さんもきっと、見守ってくれているから」
綾乃は、しばらく泣いていた。
そして顔をあげた。
「坊ちゃま・・・」
圭
「うん・・・」
綾乃
「お葬式 お手伝いさせてください」
圭は、ホッとしたし、本当にうれしかった。
「ありがとう・・・助かる・・・どうしていいのか、わからなかった」
綾乃は、少し落ち着いた。
「あと、今日から少し居候します」
「坊ちゃまの生活ぶりも少し見ないと・・・」
父の葬儀は綾乃や、父の大学関係者の手助け、圭の大学の教授、歴史研究会のメンバーに助けられ、無事に終わった。
いろんな大学の歴史関係の学者、学生等、くが参列し、圭はあらためて、父のすごさを感じた。
圭は、その中に、政府関係者もいたのには驚いた。
教授が圭に教えてくれた。
「文科省のいろんな会議にでていたのさ・・・けっこう過激な発言したけど、筋が通っているから、官僚にも人気があった」
宮内庁からも参列者があった。
教授の表情が、重くなった。
「まあ、宮内庁にも仕事があったのだけど・・・」
「もともと・・・君の家系は・・・いや・・・今は・・言わないでおこう」
教授は意味が深そうなことを言っていたが、圭は、参列者へのお辞儀等で忙しく、その時は忘れてしまった。
父の遺骨は、圭が、母と一緒の墓に納めた。
「やっと・・・一緒になれるね・・・母さん」
圭は、そんなことを思いながら、父と母の墓を見つめていた。
葬儀が終わって、圭は、大学関係者や教授、歴史研究会のメンバーに礼を述べ、綾乃さんと帰宅した。
方向が一緒なので、春奈も車に同乗する。
「春奈さん、ありがとうね・・・」
綾乃が優しく春奈に声をかける。
「はい・・・お役に立てたかどうか・・・」
春奈は少し、頬が赤い。
そのまま、春奈をアパートまで送り、圭は綾乃と久我山の自宅に帰った。
綾乃は圭の顔を見る。
「坊ちゃま・・・気がついています?」
圭は急に言われて意味不明。
「何が?」
綾乃
「春奈さんですよ」
圭
「春奈さん、よくがんばってくれたね・・・」
綾乃は首を横に振る。
「いえ、そういうことでないの・・・」
「案外 鈍感ね 坊ちゃま」
圭は、さっぱりわからない。
「何のことかわからないよ。」
綾乃は、少し笑う。
「まったくねえ・・・そういう鈍感さは父親譲りかなあ」
圭は、ますます、わからない。
「意味 わからないって・・・」
綾乃は、ようやく意味らしきものを言う。
「春奈さん・・坊ちゃまのこと、気に入っているのよ」
圭は、驚いた。
「えーー?そんなまだ会ったばかりだよ」
綾乃は、少し笑う。
「まあ、そりゃそうだけど、女の私にはわかるの・・・」
しかし、首を横に振る。
「でもねえ・・・」
圭は、またわからない。
「でもねえって?何なの?綾乃さん」
綾乃は、少し難しい顔をしている。




