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涙は風の中  作者: 舞夢
圭は白檀の香りの中、過去を思い出す
13/28

圭の追想(11)父の葬儀

圭は、綾乃には、病院から連絡をした。

「わかりました・・・すぐにでも」

綾乃は、夕方に病院に着いた。


「だんな様・・・」

綾乃は、しばし父の遺体にすがって泣いていた。


「綾乃さん・・来てくれてありがとう」

圭は、綾乃の肩にそっと手を置いた。


綾乃は、ただ泣くばかり。

「坊ちゃま・・・ごめんなさい・・・綾乃がしっかりついていてあげられなかった・・・」


圭は、泣きたいけれど、こらえた。

「いや・・・これが父の運命だったのだと思う」

「今頃 母さんと2人で散歩していると思うよ」

「そして、こっちを心配そうに見ている」


綾乃は、圭にしがみつき、激しく泣いた。

「坊ちゃま・・・」


圭は、心を必死に鎮める。

「大丈夫だよ・・・綾乃さん・・・父さんも母さんもきっと、見守ってくれているから」


綾乃は、しばらく泣いていた。

そして顔をあげた。

「坊ちゃま・・・」


「うん・・・」

綾乃

「お葬式 お手伝いさせてください」


圭は、ホッとしたし、本当にうれしかった。

「ありがとう・・・助かる・・・どうしていいのか、わからなかった」


綾乃は、少し落ち着いた。

「あと、今日から少し居候します」

「坊ちゃまの生活ぶりも少し見ないと・・・」




父の葬儀は綾乃や、父の大学関係者の手助け、圭の大学の教授、歴史研究会のメンバーに助けられ、無事に終わった。

いろんな大学の歴史関係の学者、学生等、くが参列し、圭はあらためて、父のすごさを感じた。


圭は、その中に、政府関係者もいたのには驚いた。

教授が圭に教えてくれた。

「文科省のいろんな会議にでていたのさ・・・けっこう過激な発言したけど、筋が通っているから、官僚にも人気があった」


宮内庁からも参列者があった。

教授の表情が、重くなった。

「まあ、宮内庁にも仕事があったのだけど・・・」

「もともと・・・君の家系は・・・いや・・・今は・・言わないでおこう」

教授は意味が深そうなことを言っていたが、圭は、参列者へのお辞儀等で忙しく、その時は忘れてしまった。


父の遺骨は、圭が、母と一緒の墓に納めた。

「やっと・・・一緒になれるね・・・母さん」

圭は、そんなことを思いながら、父と母の墓を見つめていた。



葬儀が終わって、圭は、大学関係者や教授、歴史研究会のメンバーに礼を述べ、綾乃さんと帰宅した。

方向が一緒なので、春奈も車に同乗する。

「春奈さん、ありがとうね・・・」

綾乃が優しく春奈に声をかける。


「はい・・・お役に立てたかどうか・・・」

春奈は少し、頬が赤い。


そのまま、春奈をアパートまで送り、圭は綾乃と久我山の自宅に帰った。


綾乃は圭の顔を見る。

「坊ちゃま・・・気がついています?」

圭は急に言われて意味不明。

「何が?」


綾乃

「春奈さんですよ」

「春奈さん、よくがんばってくれたね・・・」


綾乃は首を横に振る。

「いえ、そういうことでないの・・・」

「案外 鈍感ね 坊ちゃま」


圭は、さっぱりわからない。

「何のことかわからないよ。」


綾乃は、少し笑う。

「まったくねえ・・・そういう鈍感さは父親譲りかなあ」


圭は、ますます、わからない。

「意味 わからないって・・・」


綾乃は、ようやく意味らしきものを言う。

「春奈さん・・坊ちゃまのこと、気に入っているのよ」


圭は、驚いた。

「えーー?そんなまだ会ったばかりだよ」


綾乃は、少し笑う。

「まあ、そりゃそうだけど、女の私にはわかるの・・・」

しかし、首を横に振る。

「でもねえ・・・」


圭は、またわからない。

「でもねえって?何なの?綾乃さん」


綾乃は、少し難しい顔をしている。


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