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もしもゴブスレを俺が書いたなら  作者: 金剛マエストロ
6/9

拙作の『デラとアルフのドラゴン退治』の世界観に、ゴブスレの主人公パーティの面々を放り込んだらどうなるか?

連載6回目です。

ちなみに、最初に考えていたタイトルは、『ゴブリン理不尽物語』で、もっと殺伐とした話になる予定でした。

 いつ頃から、背中合わせにあるものを、信に足ると感じるようになったのか?

 あるいは、肩を並べて歩く者を、当たり前と思うようになっていたのか?

 そんな、感傷めいた思念が浮かんだのも一瞬で、グリフは無言でミンファの後を追う。

 人族のグリフの目には、何の変哲もない自然の景色にしか見えないが、エルフのミンファには、ゴブリンたちが歩いた痕跡は一目瞭然ということだ。

 数刻後・・・

 一行の姿は、森の奥深くの洞窟を見下ろす崖の上にあった。

「入り口は他にありそうか?」

「どうかしら?

 でも、あれを塞いでも、他に穴を開けて出てくるだけじゃない?」

「どこに何匹いようと構わん。

 ゴブリンどもは殲滅(せんめつ)だ。」

 グリフの言いように、わずかに通常と異なるものを感じたのか、ミンファがグリフの顔をしげしげと眺める。

「なんだ?」

「その方が、人間らしくていいわよ。」

「なにがだ?」

「なーんでもない。

 さっさと片付けて、村のみんなを安心させましょう!」

「ああ、そうだな。」

 さらに、数刻後・・・

 五名の冒険者達は、ほとんど消耗した様子もなく、村への帰途についていた。

「ゴブリンを滅し、ゴブリンの集落へと帰還する。

 確かに、少々複雑な心持ちですな。」

「盗賊退治をして、人の村に戻るのと同じと思えば良かろう。」

 モムグの言葉に、グリフが思わず目をやると、

「たとえ血を分けた親子や兄弟だとて、憎しみ、恨み、殺しあうこともあろう。

 なれば、ゴブリンと戦い、ゴブリンを守ることがあっても、別段不思議ではない。」

「そうか、そうだな。」

「でもわたし、少し、ホッとしました。」

 珍しく、ニニアが口を挟む。

「ただただ、他者を弄り、殺すためだけに産まれてきた存在なんて、とても悲しいです。

 だから・・・」

「確かに、俺も不思議に思っていた。

 なぜ、ゴブリンには雄しかいないのか?

 なぜ、人の胎からゴブリンしか生まれないのか?」

「余程、強い呪いなんだと思うわ。

 エルフの伝承にも、こんな呪いのことなんて、残されていないもの。」

「エルフどもは、他の種族には興味がないからのう。」

「まぁ、それは否定しないわ。」

 珍しく感傷的な反応をするミンファに、モムグはそれ以上追及することはなく、わずかに肩を竦めてみせた。

「あんな小さな村で、これからもひっそりと暮らして行くんですね。」

 誰にともなく呟いたニニアの言葉に、

「小さければ、見つかる可能性も低いだろう。

 村人以外は、すべて敵だからな。」

 先頭を歩くグリフの表情は、ニニアからは見えなかった。

次回予告

ゴブリンは討伐された。

帰途につく一行に、思わぬ土産が・・・

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