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拙作の『デラとアルフのドラゴン退治』の世界観に、ゴブスレの主人公パーティの面々を放り込んだらどうなるか?
連載5回目です。
オリジナルのゴブスレと違って、こちらのグリフ君は結構喋ります。
何しろ、セリフで説明することが多いもので・・・
「一部、術式を書き換えました。
陣が破壊されない限り、半永久的に結界を維持できると思います。」
「おおっ!
それはありがたい!」
涙ぐむヌルワジの手を取り、神官の衣装をまとった彼女は、両目を閉じて新たな詠唱を始める。
「ニニアどの、何を?」
尋ねる間に、ヌルワジの体を光が包む。
訝しげなヌルワジの表情が、徐々に穏やかなものに変わってゆく。
詠唱が完了した頃には、ヌルワジは半ば、まどろみの中に心を移ろわせていた。
「長い間、お疲れさまでした。
そして、これからもお願いしますね。」
微笑をまとったニニアの言葉に、ハッとしてヌルワジは自分の体を見下ろす。
「これは・・・」
「身体の賦活化術法です。
ヌルワジさんには、これからも結界を見守って頂かなければなりませんもの。」
「なんと!
体が軽い!
まるで若返ったようじゃ!」
「効果はまだ、しばらくは続きますけど、あまり無茶したらダメですよ。」
人差し指をたて、ニニアは片目をつぶってみせる。
「やっぱり、モチはモチ屋よね。
改めて神官職の凄みを感じさせられたわ。」
感嘆気味のミンファの言葉に、ニニアはわずかに頬を赤く染めて、
「一応、これでも上級神官ですから。
アルネー神官長には、まだまだって、いつも言われてますけど。」
「あの人は冒険者嫌いで有名だもの、仕方ないわね。」
ふふっと、微笑みあう二人から少し離れたところでは、グリフたちが頭をつき合わせて互いの状況を報告中だ。
「装備の充実を考慮すると、最低でも百は下るまい。」
「頭目は領主級か、あるいは別種族かの?」
「別種の気配はないと存ずるが、備えて損をするということもなかろうな。」
ドワーフのモムグ、リザードマンのイフードが、順に応える。
「しかし・・・まさか、我らがゴブリンの村を守ることになるとはのう。」
「ゴブリンとは、邪なる者。
長らく冒険者をやっており申したが、常識と信じていたことが、こうも簡単に覆されるとは思わなんだ。」
「同族を無数に打ち倒してきたことについては、止むを得ないということだ。」
そう言ってからグリフは、目前の二人の仲間の、自分を見る眼差しに、気遣いの気配を見て取って、
「正直、含むところがないと言えば嘘になる。
しかし、ゴブリンに襲われようとする、無垢なるものを守るとなれば、それは俺の望むところだ。」
次回予告
ゴブリンの拠点へと進む一行。
ゴブリン退治の結末は?




