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もしもゴブスレを俺が書いたなら  作者: 金剛マエストロ
3/9

拙作の『デラとアルフのドラゴン退治』の世界観に、ゴブスレの主人公パーティの面々を放り込んだらどうなるか?

連載3回目です。

よろしくお願いします。

 ゴブリン村の中に、ゴブリンの死体は二十五体。

 そのうち十三体は村民なのであろう、すがりついて涙を流す者、両手を胸の上で組み、祈りを捧げる者たちに囲まれている。

 襲撃者である十二体については、一箇所にまとめて、相棒と二人で、簡易な鎮魂の祈りを捧げた。

「む?」

 悲しみに包まれた広場の雰囲気が、不意に変わった。

 ゴブリンにしては大柄な者たちに囲まれつつ現れたのは、裾を引きずるような外套に身を包んだ、ひどく老齢のゴブリンだった。

「子供たちを助けていただき、まずは感謝を。」

 発音は若干不明瞭ではあるが、(ひざまず)きつつ放たれた明らかな人語を耳にした男と女は、すぐには返答の言葉を思いつかない。

「ワシはこの村の司祭、ヌルワジと申す。」

「俺はグリフ。

 こちらはミンファだ。」

「グリフ殿とミンファ殿は、どのような目的で、この村へ?」

「ゴブリンを、追って来た。」

「ふむ。

 その途上で、この村に至ったと?」

「ああ。」

「警戒なさるのは分かり申すが、これでは会話が(はかど)りませぬな。」

「・・・」

 無言のまま、グリフは鉄兜を脱いだ。

 黒い短髪に、野性味の強い面差し。

「ヌルワジ殿に対して、警戒しているわけではない。

 生来(せいらい)の、話下手でな。」

「ふむ。

 分かり申した。

 恩人に対して礼を失しておったのは、こちらのようじゃ。

 されば、まずはこの村の状況をご説明いたそう・・・」

 ゴブリンがこの地に住み着いたのは、相当昔のことらしい。

 らしい・・と言うのは、村の最長老であるヌルワジが先々代に昔話として聞いた話であり、どこまで(さかのぼ)れるものなのか、定かではなかったからだ。

 少なくとも数十年、ゴブリンはこの地で生を営んできた。

 狭いながらも畑を耕し、周囲の森で狩りをし、収穫物の量によって人口が増えたり減ったりもしつつ、何とか今まで生き延びてきた。

 そこに突然現れたのが、件のゴブリンどもであった。

 村の周囲を巡る柵は破壊され、畑を踏み荒らされ、不運な十三名が命を失った。

 もしもグリフ等が現れなければ、村はひとたまりもなく壊滅していただろう。

 そこまで話を聞いて、グリフは肝心なことが語られないでいることに気がついた。

「あの、人族の少女は、いずこから?」

「ワシが先代から司祭役を引き継いで程なく、幼子を抱いた旅人が村を訪れてな、ちょうど子を失ったばかりの者が引き取ったのじゃ。」

「オレの知るゴブリンは、人族の子供を育てたりはしない。」

「我らは、村の外の者と繋がろうとはせぬからのう。」

「この村の住人と、襲ってきた奴らとは、何が違う?」

 グリフの質問に、なぜか微笑みのようなものを浮かべた長老は、少しの間を置いて口を開いた。

「そもそも、我らはすべて同根じゃ。」

「同根?

 根は同じ・・・だが、今は違う?」

「邪神の(のろ)いを受けし者・・・それを称して、邪化(じゃか)と言うそうじゃ。」

「邪化?」

「呪いを受けし者の()は、呪いを引き継ぐ。

 それ故、我らは村の外との交わりを絶ち、この辺境の地で、ひっそりと隠れるようにして、生きてきたのじゃ。」

「なるほど。

 で、解呪の方法は?」

 グリフの問いに、ヌルワジの返答はない。

 いや、ややあって、何とか口を開く。

「この村全体が、浄化の結界に守られておる。

 じゃが・・・」

 ゴフっと、明らかに尋常でない咳をすると、倒れようとするヌルワジを、傍らのゴブリンが、背後から支える。

「見ての通り、ワシの余命も、あと僅かじゃ。

 我が命尽きる時、結界も力を失うであろう。」

「そうか。」

 グリフは、傍らに立つミンファに顔を向ける。

「短時間なら、結界を維持するのは、そんなに難しいことではないと思うわ。

 でも、年単位で継続するなら、専門家を呼ばないと。」

 ミンファの言葉に、ヌルワジの瞳に力が戻る。

「手伝うてくれるのか?」

「まぁ、とりあえず、あたしらがここにいる間だけはね。

 古い術式みたいだけど、かっちり組んであるようだから、魔力を充填してやれば、半年くらいはもつと思うわ。」

「そこまで時間をかける積もりはない。」

次回予告

ゴブリンを刈ってきた者がゴブリンを守る。

葛藤に苦しむグリフだが・・・

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