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拙作の『デラとアルフのドラゴン退治』の世界観に、ゴブスレの主人公パーティの面々を放り込んだらどうなるか?
連載2回目です。
今回も短くてすいません。
全8回予定でしたが、9回になる見込み。
ゴンと、くぐもった音とともに弾かれた蛮刀をかいくぐり、両刃の長剣はゴブリンの首をなかば切断した。
「七つ。」
わずかにそうつぶやくと、男は、チラと右手に握った剣に目を落とした。
「まだ、いけるか。」
皮鎧に皮の脛当てと手袋、そして首から上をすっぽり覆う鉄兜。
ややもすると、駆け出しの冒険者にも劣る防具ではあったが、無数の傷と修繕痕が、その戦歴の苛烈さを表していた。
「しかし・・・」
冒険者としては上級に位置するようになって久しい男が、先刻から仄かな違和感を覚えていた。
「ギャウッ!」
背後から飛び掛ってくるゴブリンを、わずかな動作で回避すると、その背中に長剣を突き刺す。
「八つ。」
足で背中を蹴り、剣を引き抜く。
地に沈むゴブリンの背中を見下ろし、不意に男は、あることに気がついた。
(ゴブリンどもは、何を襲っていた?)
小さな集落だった。
粗末な家屋と畑、周囲を取り囲む板塀も低く、大型の獣相手では効果はないだろう。
村と言うのも憚れるほど小規模な集落を、ゴブリンが襲う。
それは、取り立てて珍しくもない出来事・・・の、はずだった。
だが・・・
小ぶりな円盾を構えつつ、手近な小屋の戸を開けると、生き物の気配を感じ、男は部屋の奥に目をやった。
幼いゴブリンが三体、身を寄せ合って、震えている。
ゴブリンは、すぐに増える。
たとえ子供であっても、殲滅せねば、やがて成長したゴブリンは人を襲う。
ほとんど反射的に振りかぶった剣が、宙を飛んできた石礫に弾かれた。
間をおかず、振り返りざま、男は背後に盾を突き出した。
「ぐぅッ!」
うめき声をあげたその者の姿を見て、男は大きく目を見開いた。
床に倒れたその者は、人族の少女の姿をしていた。
(囚われていたのか?
いや・・・)
先ほどまで震えていた幼いゴブリンたちが、倒れた少女に覆いかぶさるようにして、必死に庇おうとしている。
信じがたい光景に、立ち尽くす男。
「ゴブリン、引き上げたみたいね。」
戸口の方から聞こえてきた声に振り返ると、久しく見慣れた姿が、そこにはあった。
「・・・えっ?」
男と同様、彼女もまた、目前の光景に絶句する。
違和感の正体に気がついた男が、搾り出すように、ようやく言った。
「ゴブリンに襲われていたのは、ゴブリンの村だ。」
次回予告
ゴブリン村の危機を救った男は、村の司祭と邂逅する。
司祭の口から語られた村のあらましとは・・・




