04. 真琴、絶望する
満面の笑みを浮かべて鏡の前に佇んでいた真琴の笑みが瞬く間に消え去りなんとも哀しみを誘う表情へと一瞬で変化してしまう。転生という不思議体験をしつつ、宇宙神のペットなどと現世では些か不名誉な称号を得ながらもチート能力で夢にまで見た理想的な男らしいイケメンモテ姿を思い描いて変身したはずの結果を前にして、真琴は思わず膝から崩れ落ちる。
「ゼノバゼロス様ぁ〜 全然ダメダメな姿に変身しちゃってますけど!! 何ですかこれ?どんな呪いの類いでしょか? お願いですから呪いを解除して下さいよっ! わぁーん、わぁんわん、わぁーん」
まさに号泣この世の終わりのように泣きわめく真琴であった。
そんな真琴を見かねるようにゼノバゼロスが思案顔で声をかける。
「ふむ、そんなに泣くでない真琴。」
「ひっく、ひっく、だ、だっでー ゼ、ゼドバゼドズ様ぁ~ずびっぐすっぐすっ」
「ああ、これこれ、分かったからそのように泣くでないわ。 そうじゃ、今からワシがいう種族に変身してみんか、外見チェックじゃな。」
「ひっく、ひくっ…… わ、分かり、まし、た、や、やり、ます、ずびっ。」
「よしよし、手始めは何がよいかの? そうじゃ、お主の前世の生き物はどうじゃな? いきなり異世界の生き物はちと難しかろうて、流石に見たこともないものに変身するのは至難じゃろう。」
「分かりました、う~ん、現世で身近な動物、はいっ!『犬』行きますっ!」
真琴が犬の姿を思い浮かべると前回同様、身体が熱を帯びたと同時に虹色の光が弾けその後に現世でお馴染みの普通の犬が現れる。その予定だったのだがやっぱり少し微妙な姿になる真琴の変身だった。大きさはチワワクラスの小型犬、毛並みは眩いばかりの虹色ロング、とてもラブリーなワンちゃん降臨であった。
「……次は馬、ヤギ、象、ライオン、キリン、くま、猫。。。ラブリーっ!がるるぅー ティラノザウルスっ!!」
「「.........」」
現れたのは1m程の黄金クリクリおめ目の虹色ティラノザウルス、恐竜なのにチビで可愛いのは、もはや真琴のデフォルトと言っていいのだろう。さらに、何に変身しても黄金色の瞳で虹色の容姿も毎回となれば真琴自身もさすがに悟る。
「ゼノバゼロス様、俺の能力チートじゃない、まともに変身出来やしない、カッコよくなれない、全然モテない、あっ!ナイナイ尽くしだ、ラップれるかな?あはははは。。。ねぇ?ゼノバゼロス様?」
真琴のモテたいという心のあまりのオーラにしばし言葉を忘れるゼノバゼロスを視界におさめながら、笑いながら泣くという離れ業を絶望の内に身に付ける真琴であった。