02. 真琴、ペットになる
かなり短文投稿になりますが、よろしくお願いします。
広大な宇宙には、神の存在分だけ世界があるという。
膨大で途方もないその世界を創造し、たまに不要になった星を
崩壊させているのが宇宙神ゼノバゼロスである。
もちろんいくら神と言えど膨大な宇宙の星々を一人で管理出来る筈もなく
広大な宇宙をいくつかのブロックに分け、星々を管理する神を配置している。
それぞれの神に森羅万象の力を授け、まるでどこぞの会社の様な神によるピラミッド型組織で成り立っていたりするが元は神々が始めたシステムなのだろう。
各方面から日々ゼノバゼロス神へ報告があるが大概は担当の神へ丸投げだ。
ゼノバゼロス神が創り出す神々は優秀で心配も憂いもなく新しい世界創世が出来るのである。
そんな偉大な宇宙神ゼノバゼロスは幾分困惑していた。
自分しか入ることが出来ないスペースエリアに突如湧き出た小さき生き物。
「おっ? コレは確か辺境の星で生まれるスライムという生き物か?
それにしては些か小さく形も微妙か?
小さいながらも手足があるし、よく見ればしっかりと目が付いておる。
ふむふむ、なんじゃ? 無意識に神生物創生しておったかのぉ〜
フォッフォフォ。」
真っ白な長い髭を撫でながらゼノバゼロスはその生物を観察して気がつく。
10cm程のその生物が神気を纏い底知れぬ力を有していることに。
ゼノバゼロスが神生物と言った生き物は、
どうやらら大神のゴミ箱から発生した生き物のようだ。
もっとも何処ぞの星でイニシャルGと呼ばれる類とは一線を画しているのだが、
ゴミ箱と言っても、その中身と言えば、宇宙世界を創生した時の星屑や
神々を創り出したカケラで、どうやっても不純なものは発生するはずが無かった。
「……ここは……どこ? ボクは ……あな……たは? ……」
ゼノバゼロスが観察していると小さな生物がたどたどしくも話そうとしている事に気がつきその呼びかけにゼノバゼロスが応える。
「ここはワシ、宇宙神ゼノバゼロスのぷらいべいとるーむじゃな。
して、そなたじゃが……
ワシもよう分からんがどうやら新たに生を受けし神の眷属のようだな」
「分かりました、ゼノバゼロス様の眷属なのですね。
これからよろしくお願いします。」
「フォフォ、生まれたばかりだと申すに礼儀正しいの、うん? ……
そなたどうやら地球と言う星から転生してきたようじゃな、その前も転生しとる。
これは珍しいワシが創った世界を廻りながら転生しているが記憶は全て消えているようじゃな。」
見た目は虹色のスライムみたいで有りながら可愛い小さな手足がチョコンと付いて瞳は黄金色、雰囲気はペンギンのそれで、歩く姿もヨチヨチで微笑ましい。
「どれ、一つ前の記憶を戻すとするかの」
ゼノバゼロスが手を振りかざすと一瞬間光が弾け飛び、人影が現れたと思ったら、やっぱりチビペンギンスライムもどきが佇んでいたが、その表情は先程とは違い活き活きとしていた。
「ゼノバゼロス様!記憶を戻して頂きありがとうございます。
何故ここにいるのか皆目見当もつかない有様ですが、
ここへ来る前の記憶が戻りました。」
「うむ、それではそなたのステータスを見てみるかのぉ、フォフォッ」
【名 前】○○○○ 【年 齢】0 歳
【種 族】神霊獣(新種レア) 【称 号】宇宙神ゼノバゼロスのペット
【レベル】 ∞【H P】 ∞ 【魔 力】 ∞ 【攻撃力】 ∞ 【防御力】 ∞
【スキル】森羅万象、ブラックホール、時空間無限移動 、メタモルフォーゼ、
∞ お取り寄せ
(有機、無機物拘らずあらゆる宇宙世界のどんなモノでも取り寄せ可能で返却も可)
☆備考 (あらゆる魔法の使用及び創生可能)
「ぶふぉっ!なっ、なんと‼︎ ワシでも見たことが無いと思えば新種であったか、
それにワシのペットとな……
まぁ、それ故のびっくりステータスなんじゃろなぁ。
その辺の神々と同等かそれ以上だろう、さすがワシのペットじゃ!
今世の名前はまだ無しか、前世の名前はなんと申した? 」
「……ペットですか? 眷属では無くペット……新種……レア……
ひょっとして……人間の姿をしていないってこと⁈
……名前は真琴…円谷 真琴 です。」
「そなた今頃気付いたのかの?
まぁよい『円谷 真琴』本日より宇宙神のペットとして生きるがよいぞ」
「ペット……ペット……神様のペット……うわぁー!何故だぁ⁈ 思い出した!さっきまで奏多相手にナイスな歌と踊りを披露していたはずなのにぃ〜 誰か夢だと言ってくれぇー」
しばらくゼノバゼロス神の前でゴロゴロジタバタし続けるチビペンギンスライムもどき姿の真琴であった。