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煙草とコーヒーと黄色のマグカップ

start of love

作者: 日向葵

竹井さんに出会ったのは、新システムを導入するために立ち上げたミーティングでのことだった。



全社的プロジェクトとなるため各部署で一人ずつメンバーが選出されることになったのだが、

思いがけず自分が選ばれてしまった。

今まで大きな会議に出たこともないのに、

いきなり大きなプロジェクトメンバーに選ばれてしまったから、さあ大変。

慣れない仕事に毎日遅くまで残り、当時は四苦八苦だった。


その時のプロジェクトリーダーが竹井さんだった。


右往左往している私を助けてくれて、一緒に相談にものってくれた。

苦しいときは声をかけてくれるし、頑張っているときは労ってくれる。

決して甘やかすわけじゃないし、時には叱られたりもするけれど、

いつもどんな時でも冷静で、

その人自身の頑張りをみてくれてる人だったから、安心して一緒に取り組めた。

私には救世主のような人だったのだ。



いろいろなことを相談しているうちに、

いつしか立ち止まって声をかけてくれるのを心待ちにしている自分がいた。


普段は用事がないとすれ違っても話しかけてくれやしないし、

忙しい人だから滅多に社内で姿をみることもないけれど、

給湯室から近い私のデスクからは、お茶をいれに来るときだけはその姿を拝める。

だから、いつも給湯室が気になってしょうがなかった。

そのついでに声もかけてくれないかな~なんて。


竹井さんと話していると心が落ち着く。

どんなに下手な説明でも最後までしっかり聞いてくれるし、

何より自分を認めてくれているような気がする。

だからこそ、新プロジェクトも頑張った。

竹井さんにもっと認めてもらいたくて、彼の力になりたくて。


一体何を期待しているんだろう。

彼にとって、私は一人の後輩でしかないのに。

どんなに頑張っても“特別”になんてなれないのに。


竹井さんにとって“特別”な人は奥さんだけだから――。




とっても素敵な人に限って、お手つきだったり。世の中って難しいもんです。

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