旅をする意味
砂埃が舞っている。オレの体から溢れ出る汗にこびりついて非常に不快だ。ぼうっとそんなことを考えていたら、細かな砂を大量に含んだ空気を吸ってしまっていた。異物に対するこの体の拒否反応が、肋骨の下部から大量の息を持ち上げてきて、オレは何度も何度も咳き込んだ。
周囲は砂によって一面が黄土色に染められていて、何とも殺風景な土地だ。昔、この地域は清らかな川の恩恵により若々しい新芽や大地の力を存分に含んだ土に囲まれて、とても美しかったのだそうだが、今では見る影もない。本当にそんな時代があったのかどうかも疑わしいくらい、ここには虚しさしか転がっていなかった。
――パン。タタタタ……。
遠くから軽い音が、大量に細かく聞こえてくる。かつてはこの音が一回でも聞かれたなら、人々は恐れおののいたはずだった。今ではこんなもの、ただただ空虚に響き渡るだけである。
オレはしばらく音が聞こえる方角を見ていたが、再びあてもなくふらふらと歩き始めた。
オレは、オレの望みが叶う場所を探していた。自身の心を蝕む生い立ちの呪いを断ち切ってくれるであろう場所が、この世のどこかにあるはずだと信じて。しかし、長年旅をしてきて、次第にえも言われぬ虚しさがオレを占領し始めた。どこまで行ってもオレの望む場所にはたどり着けそうもなかった。
それどころか、体に染みついた呪いがいかに恐ろしいものかを身を持って思い知ってしまった。もう終わらせたい、楽になりたいのに、現実は頑なにそれを拒む。延々と影を落とした未来への道を思い浮かべるたびに、強く感情がこみ上げてこぼれ落ちる。
砂地を歩いていくうちに、いつの間にか砂埃に隠されていた青く爽快な空が一面に広がっていた。窮屈な感じが和らいだことに、オレは上を向き、気を緩めてほっと息を吐く。
そっと視線を戻すとそこに、羽のように柔らかな白色の何かが、オレに視線を向けて立っているのが見えた。黄土色の背景にそれはより際立っており、この世のものとは思えない雰囲気を放っていた。
オレは直感した。オレをずっと苦しめ、信念を挫こうとしていたこの旅は、もしかして、これに出会うためにあったのではないのか。




