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ともしび  作者: れとろそふと
第五章
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運命の循環

 神奈という教育者――命の灯を燃やし尽くしてまであたしに教えてくれたこと。神奈も巧巳も、あたしが未来を生きる糧となって消えてしまった。あたしはその消えた命の上に立っていて、いつの日か、同じく誰かの糧となる。

 運命の循環とは、より小さな運命の循環の上に成り立つもので、さしずめ星々の回帰軌道に似ている。あたしはそう思う。

 神さまだって同じで、いつか今の神さまはいなくなり、別の新しい神さまが誕生して、可変的な運命の修正にいそしむ。「神官」よりも大きくてゆったりとした円に乗っかっているだけで、さほど違いなどない。

 神奈は勘違いをしていた。「神官」であろうがなかろうが、もしあたしも人間だったとしても大差はない。神奈はどこか線引きをしたがっていて、区切られた範囲内でしか自分は存在できないと思い込んでいたようだ。

 まったく、真面目すぎる。

 あたしはそうは思わない。人間なら人間のままで構わないし、自ら作り上げた安っぽい線引きだって越えようと思えば容易に越えられる。そう信じていきたい。あたしは使命を果たさなくてはならないから。

神奈には、ただそれができなかっただけだったのかもしれない。まぁ、人は多種多様ではあるが。

 あたしは中途半端な「神官」のままで構わない。神さまにそう進言しておこうと思う。

 黄色い雲の上に立ち尽くしていたあたしは、神さまの方に向かって歩き出す。夜明けが近く、雲と空の境界線から強烈な始まりの陽光が射す。目を細めて、普段よりも重みのある足取りで力強く前に進む。誰かが背中を後押ししてくれている気がした。



 背中に感じる冷たい土の感触がどんどんと上方へと登っていく。私の身体が溶けて出していくようだ。みんなこんな感じを味わったのだろうか。私が地層の隙間を縫って下りていくにつれて、とろけそうな温かみが心の奥底から広がっていく。私の命の灯を燃やし続けていたエネルギーが、この大地のある一点に還ろうとしていた。

 ついに完結しました。1、2か月間かけたこととあって、感無量です。よもやここまで長い話になるとは想定外でした。

 初めは一章、二章、最終章で終わる予定が、感情の機微をもう少し如実に表現したいという思いが、執筆途中から強くなりまして、結果的に2章分増えることとなりました。

 そのような変化に伴い、『ともしび』のテーマも若干ずれてきました。最初は「人間らしくあること」、つまり「神官」神奈の、人間性を捨てきれないことへの戸惑い――人らしくあるために手放してはいけない大切なものを書きたかったのです。しかし怜香の話を膨らましすぎたため、そのテーマにもやがかかってしまった気がします。最終的に「歴史は繰り返す」みたいなことになってしまいましたが、話の根幹は人間性なのです。

 このような作者の葛藤(?)が、この物語の背景にあったのです。葛藤していたのは登場人物だけではありません。


 それと、文章についてなのですが、今、振り返って読み直してみますと「何だかうまくねぇな……」と思う自分がいます。無駄な表現を使っていたり、かと思えば言葉が足りず、ぶつ切り感が否めないところもありました。読んでるこっちが恥ずかしくなってきます。昔の私よ、これはどうなっているんだ、と叱咤してやりたい気持ちです。

 そこで現在、文章を一通り書き直している最中です。改めて投稿しなおすかはわかりませんが、まぁ、一応、私が納得いくような形でこの物語を収めたいのです。


 この小説執筆計画がどのようにして発足したのかも綴りたいと思います。

 私は、妄想ではなく空想をすることが好きです。ある日、心にふと「悲しいけど、心が暖かくなる場面」を思い浮かべたいと考えたことがありました。何じゃそりゃ、とツッコんでくれても構いません。

 そしてそのとき浮かんだ情景が、最終章での神奈と怜香のやり取りです。ただ、「マリンスノー」の話はあとからつけたものです。

 神奈目線で想像してみてください。

 ある人が私を見下ろしている。今日は満月で、夜空は紺というより、彩度の高い群青色をしている。そして、私の命が燃えている、とまぁ、こんな感じのイメージです。

 私がこのとき補足的に思ったこと、「命が燃える」という比喩です。生き物には寿命があって、さしずめ火に似ている。周囲の可燃物を燃やし尽くしてしまえばその火は消えてしまう。生きとし生けるものに負わされている運命である。

 ただし、火が消える瞬間、生き物はその運命に抗います。人間だって当然です。その虚しい抵抗は生き物に元来植えつけてあるもので、人間にしてみると、それは正に人間性に他ならないのでは、と私は考えに至りました。

 あとは自ら書きたいように書いただけです。


 書く上で、私は手近にある文庫本を手に取ることがありました。書き方に迷ったとき、プロの小説家の文章を参考にすることで、ある程度、その言葉の迷路を切り抜けてきたのです。主に以前読んだ本――直木賞受賞作が多いです――を棚から引っ張り出して、パラパラとめくり、文章の印象を固めてからデスクに向き直ります。プロの文章はやはりうまいです(全部の小説がうまいというわけではありませんが……と、失礼なことを書いてしまいました)。


 最後に、この作品は私の処女作であります。自分の内なる思いを言霊に乗せて読者の方々に評価してもらう。もしかしたら自己満足で帰結してしまっているかもしれませんが、そうだとしても悪い気はしません。中々面白かったです。

 まぁ、偏差値の低い私でも、それなりの文章は書けたなと胸を張っております。えへん。

 次作は未定ですが、そのときはまた、よろしくお願いします。


追伸

 私はブログの方で作ったゲームの配信も行っています。今は停滞気味ですが。

 もしこの小説を気に入った方がいましたら、ゲームの方もプレイしてみてください。ノベル形式のものもありますし、私ワールドも半開くらいしています。

 ブログへ行くには、マイページからお願いします。


 本当の最後に一言。この作品を読んでいただき本当に、ありがとうございました。


 れとろそふと

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