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嘘吐きとさよなら世界  作者: ユウ
垣間見る、嘘のお話。
5/6

第5話





――――ぱさ…





軽い音を立てて、不知火が書類を机に放り投げた。


顔には不満げな色が浮かんでいる。




「黒凪くん。私は今、とても不機嫌だ」




いつもとなんら変わらない口調で不知火が告げる。

俺はそんな不知火を横目で見ながら淡々と、ただひたすらに業務を行っていた。



文面に目を通し、許可を求めるものであれば生徒会の印を押して、承認不承認を行う。

会計から回ってきた書類等もある。それらをすべて今日中に終わらせないといけない。






だから結論から言うと、俺はとても忙しい。誰かとのんきにお喋りなどしてる時間はない。




ましてや不知火の愚痴を聞く筋合いもない。




「何故だか教えてやろうか?それは今回の任務に対するお前の処置が適当ではなかったからだ」




副会長専用の机を人差し指の爪で、規則正しく音を鳴らしている。


時折その音が強くなったり弱くなったりと、不安定になる。






不知火が苛立っている理由はわかっている。


俺が今回の任務で、不知火を《指名》しなかったからだ。




しかしそれは生徒会長権限で俺が決めたことだ。

副会長である不知火に覆せるわけなどない。



不知火自信も分かっているからこそ、その怒りを俺にぶつけている。




だからこいつはめんどくさい。いつも自分の感情に素直に動いて、周りの迷惑など考えもしない。

――――まあそれは俺も同じか。





不知火はいっそう音を強く鳴らし、足で床を強く叩いた。




「何も貴様に決定を覆せといっているわけではない。今回の任務は私が適任だった、といいたいだけだ」


「…うるさいな」


「…私を甘く見るなよ、黒凪くん」




椅子を乱暴に倒して不知火は生徒会室を出て行く。

残されたのは書類をただめくる音と、誰かのため息だった。





























――――――全く、これだから外道は。



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