第3話
俺の名前は黒凪結城。私立恍泉学園の生徒会長にして、嘘で固めた性格と嘘で塗りたくった生活を送っている。
学年は高等部2年生。恍泉学園というのが中高一貫の学園のため、数えでいくと5年生ということになる。
さて。あまり自身のことは語りたくないんだ。いや、語ることがないといった方が正しいか。
嘘か真かどうかはそちらの解釈に任せる。
そのかわりと言ってはなんだが、彼らのことを話しておこうか。
我らが生徒会執行部の部員にして俺が最も信頼をおき、そして俺が最も嫌う奴らのことだ。
生徒会副会長、不知火蛍。
俺が生徒会の中でも特に毛嫌いしている人物であり、『天才的』な『留年生』。
歳は知らないが、おそらく4、5歳は上だ。
何かと力が強く、昔は毎日喧嘩三昧だったらしいが、興味はない。
生徒会会計、牧原出雲。
高等部1年生。時間に厳しく、金銭関係に厳しい生真面目な性格で、極度の高所恐怖症。
俺が知っているのはその程度だ。それ以上は知る意味も義務もない。
生徒会書記、相崎灯。
物静かで喋る時間が極端に短い中等部三年生。だが決して気弱というわけでもなく、むしろ気は強い方だと俺は実感している。
生徒会庶務、星―――失礼、現在空席だ。
俺が語れるのはせいぜいこれくらいだ。彼らだって俺のことはよくは知らないだろう。
そして俺達はこの学園で、この学園の全てを統括する任務を請け負っている。
そして与えられた任務をただひたすらに執行するだけ、ただこれだけのこと。だから俺達に慣れ合う必要性も義務もないんだ。
さて、そろそろ仕事を始めようか?