四天王の紅一点
前世で大罪を犯した私は遂に裁きを受けて死んだ。
まぁ、当たり前といえば当たり前のことか。
多くの人を弄んで苦しめたんだから。
おまけに自分が楽しいっていうだけで。
そして、今。
私は異世界に転生していた。
「スキルは……なんだいこれは? 見たことがない単語だ」
スキル鑑定士の老婆がそう言った。
私は自らのステータス欄に記されている単語を読み乾いた笑いを漏らす。
「くらっしゃー……は分かるな。破壊者、つまり破壊系のスキルなはず。だけど、そうなると前半についた単語がよく分からん。正しく文字を読むなら……」
「大丈夫ですよ。私自身に使い方が分かるので」
「そうなのか?」
「ええ」
「そうか。なら良い。それに破壊系のスキルは貴重なんだ。何せ、こんな世界だからな……」
異世界に転生して数日。
私は既にこの世界がどれだけ切羽詰まってるかを既に知っていた。
魔王による人間世界への侵略。
前世では質の悪い漫画やアニメなどで腐るほど見た設定だ。
だが、あんな飽き飽きした設定でも『現実』となればこんなにも恐ろしいものであるのを改めて実感する。
「あなたの破壊の力が少しでも人類の力に役に立つよう祈っているよ」
「そうね。お婆さん。あなたの期待に答えられるか分からないけれど、頑張ってみるわ」
***
それから半年後。
私は人々から侮蔑の言葉を向けられるようになっていた。
「ふざけるな! 恥さらし!」
「裏切り者!!」
「お前には人間としての誇りはないのか!?」
囀る者達の言葉を私はあっさりと聞き流す。
何せ、私には大きな目的があるから。
「好きなだけ言うと良いわ。私は自分の道を突き進むの」
そう。
これは私にしか出来ないこと。
私だけにしか出来ない戦い方なのだ。
魔王城に向かい、私は席に着く。
今の私は人間でありながら魔王配下の四天王の一角。
いや、四天王の紅一点というべきだろうか。
「驚いたものだ」
他の四天王たちが笑う。
「人間でありながら魔王軍に入った」
「それだけで驚きなのに女とはな」
「まったくだ。女であるのに戦うなんて。お前はまさに異例にまみれた魔女だ」
同僚の言葉を軽く受け流しながら私は微笑む。
果たして目的達成の頃に私は生きているだろうか。
そんなことを考えながら。
だけど、これは前世の私の罪滅ぼし。
オタク君達の居心地の良い場所を壊してしまった私に出来る償いなのだ。
そうとしか考えられない。
だって、私の持つスキルは『サークルクラッシャー』なのだから。




