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光は、約束を残して消えた──人気アイドルの死の真相を追う幼なじみの話  作者: みかん


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5人一つ屋根の下

 黒田に連れられ、ひかりは都内の住宅街に足を踏み入れた。


 高層ビルの立ち並ぶエリアを抜けると、突然、静かな一角に出る。


 ひかりがあたりを見回すと、その中でもひときわ大きな、白い二階建ての一軒家が目に入った。


「ここだよ。今日から彼らの拠点になる場所、そして君の職場!」


 門の前で立ち止まり、黒田が言う。



「男の子ばっかりだから、最初はうるさいと思うけど……まあ、悪い連中じゃないからさ!」




 そう言ってインターホンを押した。


 ひかりは緊張をほぐす為に深く深呼吸をする。


 しばらくすると家の中からドタドタと足音が聞こえ、少し間を置いて勢いよく扉が開いた。


「はーい!」


 真っ先に顔を出したのは、元気いっぱいのひまわりのような笑顔の青年。




「わ! 黒田さん! こんにちはー!」




 柔らかな関西弁。

 ポカポカの日向みたいに明るく、人懐っこい雰囲気。そんな彼にひかりは心なしか緊張がほぐれる。




「え!黒田さん! 女の子やん! え!? なんで?! 一緒にデビューするん?!」





 少し天然が入っているのか、彼は、そう言って驚いた表情をした。そして、すぐに、ひかりに目線を合わせてニコッと笑う。


 黒田は彼の頭を、子犬を愛でるかのように笑いながら撫でた。


「がっははは!和樹、そんなわけないだろ。

えーっとひかり、彼は西大寺和樹。今度デビューするアイドルの1人だ。

そしてこの子は今日から住み込みでサポートに入る石見ひかり。マネージャー兼家政婦って感じだな」




 黒田がそう伝えると、和樹はへぇー! と嬉しそうに笑う。そんな彼の背後からずいっと前に、ふわふわ猫毛の青年が現れた。


「ちょ、和樹、俺にも挨拶させてや〜! こんにちは。橿原遼太郎です。めっちゃかわええなぁー! 俺、和樹と地元一緒やねん。よろしくなぁ」



 遼太郎は年上に見える落ち着いた顔立ちで、にこりと微笑んだ。

 兄のような安心感の奥に、ふとした瞬間、色気が滲む遼太郎。

 どことなく女慣れしていそうな雰囲気の彼は、ひかりの手をぎゅっと握る。




「コラ」



 低く、芯のある声が空気を切った。


 奥から現れたのは、背筋を伸ばし腕組みをした青年。

 強い目力。睨まれているわけでもないのに、圧があり鋭い視線に目が離せなくなる。


「初対面で失礼だろ。自己紹介くらいちゃんとしようぜ」


 八木総司だった。


 まっすぐで芯の強い眼差しは、真正面から人を見るタイプ。

 漢という言葉がそのまま形になったような強い存在感を感じるひかり。



「そうちゃんごめんなぁ。新しい仲間にうれしくなってしもたわ」


 遼太郎が笑顔で素直に引き下がる。リーダーのような存在は総司なのだろうとひかりは思った。


 そんなこんなで3人が盛り上がっていると黒田が軽く咳払いをした。


 一斉にひかりに視線が集まる。


 ひかりは少し緊張しながらも、ぺこりと頭を下げた。




「石見ひかりです。よろしくお願いします」




 挨拶が終わったちょうどその時、廊下の奥から、ゆっくりと足音が近づいてきた。顔を上げるとバッチリ目が合う。



「……ひかり? ひかり?!」


 聞き慣れた声。

 


 顔を上げた先にいたのは、朝、別れたばかりのよく見る顔の青年、というか翔だった。


 翔は信じられないと目を見開き、口をぽかんと開いている。ひかりはバツが悪そうに微笑んだ。


「あははっ! ごめん! 話せば長くなる!」




 薄々、翔がいる事に気が付いていたひかりは、手を前に合わせて形ばかりの謝罪をする。


 ひかりが目の前にいることが理解できない翔は、ふらふらとその場に座り込んだ。そして目を擦りひかりをもう一度確認する。


 翔のその目には、驚きと、戸惑いと、言葉にできない感情が混じっていた。


「なんで……ここに?」


 翔の問いに、ひかりは小さく息を吸い、答える。


「それは……後で説明するね!」



 ひかりがごめんと謝り倒していると、黒田が間に割って入った。




「詳しい話はあと。とりあえず、今日から彼女は、君たちの生活サポートとマネジメント補助を担当するから。ちなみに住み込みだから仲良くするんだぞ」


 黒田がそう言うと場の空気が一瞬、静まる。


 そして、その沈黙を最初に破ったのは、ひまわりのような笑顔が咲いた和樹だった。


「めっちゃ心強いなぁ! ひかり、よろしくなぁ。てかさ、翔、知り合いなん?」


 翔は一瞬だけ視線をひかりに向け、そして答えた。


「……幼なじみ」


 その一言に、空気が少しだけ変わった。


 総司は腕を組み、じっとひかりを見つめる。


「幼馴染か……」


 遼太郎はさわやかにニコリと笑った。


「なるほどなぁ。これからよろしくね」


 ひかりは胸の奥で、小さく覚悟を固めた。


 ここからが、本当の始まりだ。


ここまで読んでくださってありがとうございます。

作者のみかんです!


作品はどうですか? よければコメント、ブックマークおまちしています。元気でます!

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