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光は、約束を残して消えた──人気アイドルの死の真相を追う幼なじみの話  作者: みかん


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12/23

翔の秘密

 夜。


 家の灯りがひとつずつ消えていく中、翔は自分の部屋で一人、ベッドに腰掛けていた。


 さっきまで、ひかりと話していた。


 笠縫秀喜のこと。

 スタジオですれ違った、cabbageのメンバー。

 そして廊下で出会ったあの、女のこと。


 ひかりは感情のままに言葉を並べていたが、最後には少し落ち着いて話し合うことができた。



「今は動かない。仕事で必要とされて、時が来たらちゃんと探ろう」



 そう言うと、ひかりは不満そうにしながらも頷いた。



 それでいい。前に出るのは、ひかりじゃなくていい。


 翔は、目をつぶりゆっくり息を吐く。


(……いや)


 正確には、ひかりを前に出させない。ひかりに行動を移させない。翔はその気持ちでいっぱいだった。


 廊下での一瞬。あの女性が口にした名前。



 ――遥香。



 思わず漏れたような声だった。口に出すつもりもなかったような声。だが、翔が感じた違和感はそこじゃなかった。


 視線だ。


 あの時、女は確かにひかりではなく、翔を見ていた。



(見間違いじゃない)




 名前を呼びかける直前、確かに目が合った。怯えたようでも、驚いたようでもない。思わず口にしたようなあの様子。




(もし、あれがあのことに関係しているなら……)



 翔は思考を、途中で止める。それ以上考えると、ひかりに知られるような気がした。



 今はまだ、必要ない。いや、これからも伝えることはない。



 翔は気持ちを切り替えるために立ち上がり、部屋の片隅に置かれた資料に目を向けた。



 総司が今日、持ち帰ってきた舞台のチラシ。


 無造作に重ねられた紙の一枚を、なんとなく手に取る。



 照明、演出、キャスト一覧。



 流し読みするつもりだった視線が、そこで止まった。



「……」




 胸の奥が、ひくりと揺れる。


 そこに写っていたのは、今日、廊下で見た横顔。


 はっきりとは写っていない。だが、間違えようがなかった。




(……舞台、か)




 cabbageのメンバーでもない。テレビで見た覚えもない。


 それでも、芸能の世界にいる人間。


 翔はチラシを机に置き、静かに拳を握った。


(俺が動く)


 ひかりには、気づかせない。

 読まれない場所で、確かめる。


 もし、あの女が知ってはいけないことを知っているなら。


 翔は1人で動く覚悟を決める。



 部屋の明かりを落とし、翔は目を閉じた。


 その決意は、誰にも告げないまま。


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