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光は、約束を残して消えた──人気アイドルの死の真相を追う幼なじみの話  作者: みかん


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消えた女性

 挨拶回りをするために借りている楽屋に戻ると、メンバーも到着したようでそれぞれ荷物を置き、髪や服装を整えていた。



黒田がにこやかに声を張る。




「さて、みんな集まったところで…グループ名を発表するぞ!」




メンバーはわくわくした表情で黒田を見つめた。遥香のためにアイドルになる翔でさえ、心なしか嬉しそうな表情をする。




「正式な名前は…LUCENTルーセント!」



 黒田は指をパチンと鳴らし、グループ名を高らかに告げる。



 一瞬、その場が静まり返り、


「かっこええやん!」


「覚えやすいな!」



 と、和樹がすぐさま笑顔で飛び上がった。そしてそのまま遼太郎とハイタッチ。総司は嬉しそうにガッツポーズ、翔は付き合いの長いひかりが気づく程度に少しだけ目が輝いた。



ひかりも胸の奥が熱くなる。



(これが…私たちの新しい名前。これで活動して、遥香に近づくんだ)



 より気合が入ったひかりは手をグッと握りしめ、深呼吸をした。



 グループ名も決まり、黒田の案内で挨拶回りが始まる。



 今日の主な仕事は、3つ。


 各スタジオで顔を合わせるスタッフやマネージャーに挨拶。テレビ局ではカメラマンやプロデューサーにデビューするグループを紹介。ひよっこアイドルとマネージャーが芸能界の空気に早く馴染むようにする事も今日の仕事だ。



 黒田に連れられて歩いていると、すれ違う人一人一人が有名人で驚くひかり。



「わぁ…この人、知ってる!」


「こっちの女優さん、ドラマで見ことあるで!」




 テレビの中でしか見たことない人たちを目にするたびに、興奮気味にひかりと和樹は反応してしまう。一応控えめな声で。



 その様子に、黒田は微笑みながらそっと2人の頭に手を置いた。



「落ち着け、今は見るだけだけど、お前たちもすぐああなるぞ」



 黒田は目を輝かせる若者たちに目尻を下げガハハと笑った。






 挨拶回りも終盤、あるテレビ局での出来事。


 ひかりがみんなと一緒に廊下を歩いていると、可憐で小さな声が聞こえた。




「遥香…?」




 振り向くと、ひかりの視線の先に可愛らしい女性が立っている。



 え…?と口を開きかけるが、その瞬間、その子は顔が引きつり反対方向に駆け出す。ひかりはとっさに体が動いた。



(あの人…遥香のことを言いかけたの!?)




 心臓が早鐘のように打つ。




 一緒にいるメンバーや黒田に声もかけずに、小走りで彼女を追いかけるひかり。黒田がひかりを止める声が聞こえるが、ひかりは静止を無視して女の子を追いかけた。




 話をするために廊下を進むひかり。しかし、広いテレビ局の廊下は迷路のようで、次々に曲がり角が現れる。



 慌ててスピードを上げようとするが、ひかりは肩を掴まれた。



「翔…!」




 振り返ると、翔は静かに後ろをついてきたようで、ひかりを止める。



「やりすぎだ。目立ってる。」



 翔にそう言われ周りを見渡すひかり。確かに、新人マネージャーだからか、かなり視線を集めていた。


 でもひかりの決意は止められない。




「あの人、私たちを見て遥香って言ったんだよ?!」



「ひかり!」


 静止する翔の手を振り払い、またもや小走りで廊下を走るひかり。曲がるたびに、スタッフや機材に遮られ、姿は遠のく。




(見失う…!?)




 息を整えながら角を曲がった瞬間、目の前にカメラが置かれている。ひかりは咄嗟に身を低くしてかわした。




「……あっ!」




 ひかりは足をぐねってしまい、声を漏らす。不意の痛さに足を止めた。その間にさっきの女の人はこちらを振り返る事なく廊下を進む。




「待って…!」




 ひかりは思わず声を出して足の痛みを我慢し走ろうとする。でも、広すぎるスタジオフロア。エレベーターから出てくる人の波に紛れ、女性はすぐに消えてしまった。



(だめ…どこに行ったの…)



 肩で息をしながら立ち止まるひかり。焦りで心臓の奥がきゅっと締め付けられる。


「ひかり!!」


 翔の声に振り返ると、彼は少し息を乱しながら立っていた。




「おちつけ。無理しても話は聞けないだろ。警戒されてどうする」



「確かに…ごめん。」




 ひかりは悔しさで唇をかむ。




(絶対逃さない…遥香のことを知ってる人なんだもの)



 ひかりは女の人が消えていった廊下の先を、悔しさが滲む表情で見つめる。翔はそんなひかりの顔を覗き込んだ。



「……ひかり、みんな待ってるから。それより、足は大丈夫?」



「うん。少し捻っただけ。」



「本当に…自分のことも優先して」




 翔の声には心配と少しの怒りが混ざっている。ひかりは少し痛む足を振りながら大丈夫とアピールした。



「強がって足悪化したら許さないから」




 翔は呆れたような表情をして注意をした。そして、歩くスピードをひかりに合わせる。



 2人がみんなの元に戻ると何があったか黒田に聞かれた。とっさにひかりは好きなアイドルだと思って思わず追いかけたと嘘をついた。



 次の挨拶に向かう途中、翔は情報を逃したと落ち込むひかりの頭にポンと手を置き慰めた。ひかりを撫でる手は優しかったが、窓の外を見る目つきは鋭かった。


読者様…読者様…

私は今、あなたの頭に直接話しかけています。


よければ、レビュー、感想、ブクマ、コメントいただけないでしょうか?

明日の励みにしたいのです。

オラに元気を分けてください。

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