歓喜の報
ミニチュア版魔力波塔が完成し、王都の祖父母宅へ試しに「特別放送」を行ってから数日後。アリアは、ライナー先生や研究室のメンバーと共に、受信機の性能改善や魔力波長の解析に没頭していた。果たして、王都まで声は届いたのか。その結果を、皆が固唾を飲んで待っていた。
そんなある日の午後、リンドバーグ家から王都の貴族院の宿舎に、一通の手紙が届けられた。差出人は、アリアの祖父、バルドリック・リンドバーグ。
アリアは、胸を高鳴らせながら、その手紙を受け取った。ライナー先生と、研究室のメンバーであるロジャー、エディス、フェリックス、リリーも、期待と緊張の眼差しでアリアを見守っている。
アリアは、そっと封を開け、手紙を読み始めた。
「アリアへ
貴女からの『特別放送』、確かにこの王都の邸宅に届いた。驚きと共に、深く感動した。澄み切った貴女の声は、まるで本当に目の前で話しているかのようだった。
貴女の『声聞魔法』と、その応用である『魔力波塔』が、リンドバーグ家という枠を越え、王都にまでその声と情報を届けることができると、このバルドリック、確信した。これは、古の魔法文明の再来であり、あるいはそれを凌駕する、革命的な技術となるだろう。
セレーネも、貴女の声を聞き、感極まって涙を流していた。新たな弟か妹への、温かい歌も、きっと届くことだろう。
貴女の才能と探求心に、心からの敬意を表する。決してその歩みを止めることなく、更なる高みを目指しなさい。
王都の空に、貴女の『希望の音色』が響き渡る日を楽しみにしている。
バルドリックより」
手紙を読み終えたアリアの顔には、満面の笑みが広がっていた。
「届いた……!私の声が、王都のおじい様とおばあ様のところに、ちゃんと届いたんだ!」
アリアは、感動のあまり、手紙を胸に抱きしめ、喜びの声を上げた。ポルンも、アリアの喜びを感じ取っているのか、嬉しそうに小さく鳴いた。
ライナー先生と研究室のメンバーも、その知らせに歓喜に沸いた。
「成功です!アリア様の『魔力波塔』が、王都への長距離通信を実現させた!」
ライナー先生は、興奮のあまり、眼鏡を押し上げながら叫んだ。
「素晴らしい!これで、魔力波長の安定性と、情報伝達の精度を、さらに高める研究を進められる!」
ロジャーが、力強く拳を握った。
「古の魔力波塔の伝説が、アリア様の手によって、現代に蘇っただけでなく、より進化を遂げた……!これは、学術界における、歴史的な一歩です!」
エディスも、その学術的な衝撃に打ち震えていた。
フェリックスとリリーも、アリアの偉業を心から称賛し、拍手を送った。彼らの目には、アリアの才能と、その研究がもたらす未来への希望が、鮮やかに映し出されていた。
アリアの「声聞魔法」は、ミニチュア版魔力波塔の完成、そして王都への長距離通信の成功により、新たな段階へと突入した。それは、彼女の「放送」が、リンドバーグ家という小さな枠を完全に飛び出し、王都全体、そして王国全体へと、その「希望の音色」を響かせ始める、確かな第一歩となったのである。




