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兄姉の困惑、三兄妹の絆

アリアが「特別研究科生」として貴族院に入学するという異例の発表は、式典後も学内で大きな話題となっていた。多くの生徒や貴族たちは、魔力平均以下の少女が、なぜそのような特別な待遇を受けるのか、興味と疑問、そして少なからぬ羨望の眼差しをアリアに向けていた。


その影響は、アリアの兄であるレオと姉であるセレスティにも及んでいた。


「レオ!聞いたぞ!お前の妹君が、貴族院の特別研究科生だと!?一体、どういうことだ!」


レオは、式典後、学友たちに囲まれ、矢継ぎ早に質問攻めに遭っていた。彼らは、リンドバーグ家が、まさか二人の優秀な兄妹だけでなく、もう一人、王家から特別な待遇を受けるほどの才能を持つ妹を抱えていることに、驚きを隠せない様子だった。


「アリアが、特別研究科生に……。私も、まさかここまでとは知らなかった」


レオは、そう答えるのが精一杯だった。アリアの「森の精霊説」の噂は聞いていたが、それが貴族院の制度を変えるほどのものだとは、彼も想像していなかったのだ。しかし、彼の心には、妹への驚きと同時に、以前感じた「落ちこぼれ」という蔑視は完全に消え去り、深い誇らしさが満ちていた。


一方、セレスティもまた、友人たちに囲まれていた。


「セレスティ様!アリア様が、特別研究科生として入学されるとは、本当に驚きましたわ!」


エレノア・クロフォードが、目を輝かせながら尋ねた。


「ええ、私もです。まさか、王家がそこまでアリアを高く評価していたとは……」


セレスティは、少し戸惑いながらも、妹への深い愛情と誇らしさを感じていた。彼女は、アリアの「声聞魔法」が持つ可能性を誰よりも早く信じていたが、その才能が、まさか貴族院の教育システムにまで影響を与えるとは、想像以上だったのだ。


友人たちは、アリアに関する噂話や、彼女の魔法への好奇心で盛り上がっていた。セレスティは、その会話を聞きながら、アリアの魔法が、いよいよ学術界に本格的に認識され始めたことを実感していた。


その日の午後、貴族院の庭園の一角で、レオ、セレスティ、そしてアリアの三兄妹は、久々の再会を果たした。レオとセレスティは、アリアの「特別研究科生」としての入学について、直接話を聞きたかったのだ。ライナー先生も、彼らの会話を見守るように、少し離れた場所に立っていた。


「アリア。特別研究科生とは、一体どういうことだ?王宮が、お前をそこまで高く評価しているとはな」


レオが、率直な疑問を投げかけた。その声には、以前のような傲慢さはなく、妹への純粋な興味と、尊敬の念が滲んでいた。


アリアは、兄の言葉に少し緊張しながらも、ライナー先生から教わった言葉を思い出し、自分の「声聞魔法」が持つ特性、階層構造魔力回路の発明、そして王宮での魔物騒動における功績について、たどたどしくも懸命に説明した。


「私の魔法が、この王国の未来にとってかけがえのない力になるって……国王陛下が、そう仰ってくださったんです」


アリアの言葉に、レオとセレスティは、驚きと感動で目を丸くした。特にレオは、アリアが王宮の危機を救い、王族から直接感謝されたという事実に、改めて妹の才能の大きさを実感していた。


「アリア……貴女は、本当に素晴らしいわ!」


セレスティは、アリアの手を強く握り、感動に震える声で言った。彼女の目には、誇らしさと、そして妹への深い愛情が溢れていた。


レオは、そんな姉妹の様子をじっと見つめていた。以前の彼であれば、アリアの「落ちこぼれ」というレッテルを貼っていた自分を恥じ、素直に妹を称賛することはできなかっただろう。しかし、貴族院での学びと、姉妹の活躍を目の当たりにする中で、彼の心は大きく変化していた。


「そうか……お前たちが、そんなにも頑張っていたとはな」


レオの声には、深い感慨が込められていた。彼は、アリアの頭にそっと手を置き、優しく撫でた。


「アリア。お前は、このリンドバーグ家にとって、そして王国にとって、かけがえのない存在だ。誇りに思うぞ」


レオの言葉に、アリアは感動のあまり、目に大粒の涙を浮かべた。兄からの直接の称賛と、温かい言葉。それは、アリアがずっと求めていたものだった。セレスティもまた、兄妹の間に確かな絆が結ばれたことに、安堵と喜びの表情を浮かべた。

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