表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/173

二つの入学式、王女と魔女の貴族院

春の訪れと共に、王都の貴族院は、新たな希望に満ちた新入生たちを迎え入れようとしていた。その年の入学式は、例年にも増して注目を集めていた。何よりも、現国王の娘であるフローラ王女が、貴族院に入学するからだ。そして、もう一人、その才能が王家にも認められたという、異例の少女がいた。アリア・リンドバーグ。


入学式当日、貴族院の広大な講堂は、新入生とその家族、そして貴族院の上層部で埋め尽くされていた。会場の入り口で、アリアは、リンドバーグ家の面々と共に、王家の馬車から降り立つフローラ王女を出迎えた。


フローラ王女は、真新しい貴族院の制服を身につけ、緊張しながらも、誇らしげな表情を浮かべていた。彼女は、王女としての立場と、一人の新入生としての期待を胸に、貴族院の門をくぐろうとしていた。アリアの姿を見つけると、フローラ王女はにこやかに微笑んだ。


「アリア様!貴女様も、いよいよ貴族院ですわね!」


アリアは、フローラ王女の言葉に、少し照れながらも頷いた。


「はい、王女殿下。まさか、私が貴族院に入学できるとは、夢にも思っていませんでした」


アリアは、王女と同じ制服に身を包んでいた。しかし、アリアの制服には、他の新入生とは異なる、特別な刺繍が施されていた。それは、彼女が「特別研究科生」であることを示す、小さな金色の紋様だった。


式典が始まった。新入生の代表として、フローラ王女が誓いの言葉を述べた。彼女の凛とした声は、講堂に響き渡り、多くの生徒たちの心を惹きつけた。国王と女王、そして先代の王も、誇らしげに孫娘の姿を見守っていた。


続いて、学院長が、異例の発表を行った。


「そして、この貴族院には、今年、貴族院の歴史上、極めて異例の才能を持つ生徒を迎えることになりました。アリア・リンドバーグ殿。彼女は、その天賦の才が王家にも認められ、特別研究科生として、本日より貴族院での学びを開始します」


学院長の言葉に、講堂は一瞬にしてざわめきに包まれた。多くの新入生やその家族は、アリアという名の少女が、フローラ王女と並ぶほどの注目を浴びていることに驚きを隠せない。セレスティは、隣に座るレオの顔を見た。レオもまた、アリアが「特別研究科生」として入学する事実に、驚きと共に、どこか誇らしげな表情を浮かべていた。


アリアは、ざわめく講堂の中で、自分の名前が呼ばれたことに、緊張で心臓が大きく鳴るのを感じた。そして、彼女の心は、フローラ王女との立場の違いを、改めて強く意識していた。フローラ王女は、多くの新入生と同じように、貴族院の学びの第一歩を踏み出す。しかし、自分は、既に特別な存在として、その枠を超えた学びを求められている。


(私……本当に、ここでやっていけるのかな……)


アリアの心に、一抹の不安がよぎる。しかし、彼女の肩に止まったポルンが、小さく鳴き、アリアの頬に頭を擦りつけた。そして、ライナー先生の「貴女は、この王国の未来を大きく変える力を持っている」という言葉が、アリアの脳裏に蘇った。


アリアは、顔を上げ、前を見据えた。自分の「声聞魔法」が持つ可能性、そして「放送」が、この貴族院、そして王国全体に、どのような変化をもたらすのか。不安よりも、新たな探求への喜びと、使命感がアリアの心を満たした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ