王女からの便り、紡がれる友情
アリアは、ライナー先生との学びを続けながら、「家内放送」を通じて領地の人々に情報や癒しを届け続けていた。王宮での出来事は、彼女の心に大きな自信と使命感を植え付けていた。
数日後、リンドバーグ家に、王宮からの使いが訪れた。届けられたのは、一通の封書。その封蝋には、王家の紋章が誇らしげに刻まれていた。差出人は、フローラ王女殿下。アリアは、初めて受け取る王族からの手紙に、胸を高鳴らせた。
「アリア様、王女殿下からのお手紙ですね。一体、どのような内容なのでしょうか?」
ライナー先生も、フローラ王女からの便りに、興味津々といった様子だ。
アリアは、そっと封を開け、手紙を読み始めた。王女の筆跡は、幼いながらも気品があり、丁寧な言葉で綴られていた。
「アリア様。先日は、王宮にお招きできて、本当に嬉しゅうございましたわ。貴女様との時間は、わたくしにとって、何よりも楽しい思い出となりました。そして、貴女様の温かい『放送』のおかげで、昨夜も安心して眠ることができました。本当に、感謝申し上げます。また、王宮の危機を救ってくださったこと、改めて御礼申し上げます。おじい様も、お母様も、貴女様のことを高く評価してくださっております。わたくし、アリア様と、これからも文通を続けて、お互いのことをもっと深く知りたいと願っております。どうぞ、わたくしのお友達になっていただけますか? フローラより」
手紙を読み終えたアリアの目には、温かい涙が滲んでいた。フローラ王女が、自分の「放送」をこれほど喜んでくれていたこと、そして、王宮の危機を救ったことを、心から感謝してくれていること。何よりも、「お友達になっていただけますか?」という言葉が、アリアの心に深く響いた。王族の娘が、身分を越えて自分を友人として求めてくれている。それは、アリアにとって、何よりも嬉しいことだった。
「先生……フローラ王女殿下が、私と文通したいと……」
アリアは、感動に震える声でライナー先生に手紙を見せた。ライナー先生も、その内容に感銘を受け、優しく微笑んだ。
「素晴らしいことです、アリア様。王女殿下は、貴女様の魔法だけでなく、その心にも深く惹かれているのですね。これは、貴女の『放送』が、王宮にまで届くための、かけがえのない橋渡しとなるでしょう」
アリアは、すぐに返事を書き始めた。王宮での楽しかったこと、フローラ王女の優しさへの感謝、そして、喜んで友人になりたいという気持ちを、飾らない言葉で綴った。
それからというもの、アリアとフローラ王女の間で、定期的な文通が始まった。フローラ王女からは、王宮での日常、学んでいること、そして時折、王宮の庭園で見かける珍しい小鳥の話などが送られてきた。アリアからは、リンドバーグ家での生活、ライナー先生との学び、そして動物たちから聞いた森の最新情報などが綴られた。
文通を通じて、二人の友情はさらに深まっていった。フローラ王女は、王宮の厳格な規則の中で、アリアとの文通が、心の安らぎと、外の世界との繋がりを感じさせてくれる大切な時間となっていた。アリアもまた、王女との文通が、自分の魔法が王宮にも受け入れられているという自信と、新たな知識への刺激を与えてくれていた。
特に、アリアが虹色の響鳴石について触れると、フローラ王女は「大切にしていますわ!いつかあの石で、アリア様の歌を王宮で聞かせてくださいね!」と、喜びいっぱいの返事を寄こした。
王宮とリンドバーグ家。遠く離れた二つの場所で、二人の少女の友情は、着実に育まれていた。そして、この文通は、やがてアリアの「家内放送」が、王宮へと届けられるための、確かな布石となっていたのである。




