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王宮の余波、兄姉の閃き

王宮での滞在を終え、アリアはライナー先生と共に、リンドバーグ家へと帰路に着いた。国王、女王、そして先代の王から直接感謝の言葉を受け、フローラ王女との友情を深めたことは、アリアにとって、かけがえのない経験となった。王宮での一夜の「特別放送」は、王女の心を癒し、彼女の魔法が持つ新たな可能性を示してくれた。アリアの心は、深い喜びと、そして「王国のために」という新たな使命感で満たされていた。


数日後、王都の貴族院では、王宮で起こった魔物騒動の噂が、瞬く間に広まっていた。王宮の結界が破られ、魔物が侵入したという未曽有の事態は、学内でも大きな衝撃をもって語られた。


食堂や自習室で、生徒たちは口々にその話題を交わしていた。


「聞いたか?王宮に魔物が出たらしいぞ!騎士団と魔法師団が総出で応戦したそうだ!」


「結界が破られたという話もある。一体、何があったんだ……」


学内は、不安と興奮が入り混じったざわめきに包まれていた。


そんな中、レオ・リンドバーグは、剣術の訓練から戻り、学友たちとの会話の中でその噂を耳にした。


「今回の魔物騒動、実は王宮の裏の森から出た魔物だとか。そして、その危機を救ったのは……『森の精霊に愛された少女』の警告だったらしいぞ!」


学友の一人が、興奮気味に語り出した。


「なんでも、その少女の警告があったおかげで、王宮は早期に対応できたとか。王族の方々も、その精霊に深く感謝していると、専らの噂だ」


レオは、その言葉を聞いた瞬間、ハッと息をのんだ。彼の脳裏には、以前セドリックから聞いた、アリアに関する「森の精霊説」の噂が鮮明に蘇った。そして、実家でのアリアの能力、特に庭で小鳥たちを集めていた光景が、まるで走馬灯のように駆け巡った。


(森の精霊に愛された少女……アリア、なのか?)


レオの顔に、驚きと、そして妹の才能に対する、新たな認識の色が浮かんだ。かつて「落ちこぼれ」と見下していた妹が、王宮の危機を救い、王族から感謝されるほどの存在になっているとは、想像もしていなかったのだ。


一方、セレスティもまた、友人たちとの会話の中で、その噂を聞いていた。


「セレスティ様!王宮の魔物騒動のこと、聞きましたわ!なんでも、その危機を救ったのは、森の精霊の警告だったとか!」


エレノアが、目を輝かせながらセレスティに話しかけた。


「ええ、私も聞きましたわ。そして、その精霊の警告があったからこそ、王族の方々も迅速に対応できたと。女王陛下も深く感謝していると、専らの噂ですわ」


ベアトリスが、感銘を受けたように続けた。


セレスティは、その話を聞きながら、アリアの姿を思い浮かべた。王宮への滞在中、アリアが小鳥たちを集め、そしてカラスが緊急の警告を発したこと。そして、女王がその警告を信じて行動したこと。それらの出来事が、一つの確かな真実として、セレスティの心の中で繋がった。


(アリア……貴女の魔法が、本当に王宮を救ったのね)


セレスティは、感動に胸を震わせた。妹の持つ「声聞魔法」が、単なる癒しや情報伝達の手段に留まらず、王国全体を脅かす危機をも救う力であることを、改めて痛感したのだ。


レオとセレスティ、二人の兄妹は、遠く離れた王都で、それぞれが妹アリアの秘めたる才能と、その影響力の大きさに、深く思いを巡らせていた。アリアの名前こそ公には語られていないものの、「森の精霊に愛された少女」という言葉は、彼らの心の中で、紛れもなくアリアを指し示していた。アリアの「声」は、知らぬ間に王都へと届き、兄姉の心を動かし始めていたのである。

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