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朝日の約束、広がる希望の歌

翌朝、王宮の朝日は、清々しい光を王宮の隅々まで届けた。フローラ王女は、目覚めるとすぐにベッドサイドの小型受信機に手を伸ばし、それを大切そうに胸に抱きしめた。昨夜の特別放送が、まるで夢のように、しかし確かに彼女の心に残っていた。


不安に震える心を温かく包み込み、安らかな眠りへと誘ってくれたアリアの声。王女は、その優しさに心から感謝していた。


朝食のため、アリアとフローラ王女は食堂へと向かう。食堂には、すでに国王、女王、先代の王が揃っており、厳かながらも穏やかな雰囲気が漂っていた。アリアは、昨日と変わらず、少し緊張しながらも、国王たちに深々と頭を下げた。


「アリア様!昨夜は、本当にありがとうございましたわ!」


フローラ王女は、着席するや否や、アリアに満面の笑顔を向け、その手を握りしめた。王女の顔には、昨夜の不安な影は一切なく、希望に満ちた輝きが宿っていた。


国王と女王、そして先代の王は、フローラ王女の言葉に、不思議そうな表情で顔を見合わせた。


「フローラ、どうしたのだ?何か、嬉しいことがあったのかい?」


先代の王が優しく尋ねると、フローラ王女は、瞳を輝かせながら、昨夜の出来事を語り始めた。


「はい、おじい様!昨夜、アリア様が、わたくしのために、特別な『放送』をしてくださったのですわ!」


フローラ王女の言葉に、国王、女王、先代の王は一斉に驚きに目を見開いた。彼らは、アリアの「声聞魔法」が小鳥を集める力を持っていること、そして情報伝達に優れていることは知っていたが、「放送」という形で、特定の人物に、詩的な語りかけと物語、そして歌を届けているとは、想像もしていなかったからだ。


「放送、だと?」


国王が、わずかに眉をひそめた。


「はい!アリア様が、この小さな木箱から、お話しや歌を聞かせてくださったのですわ!夜の十時になると、王宮の闇夜に、アリア様の優しい声が響き渡って……!わたくし、そのおかげで、安心して眠ることができましたの!」


フローラ王女は、興奮冷めやらぬ様子で、アリアから受け取った小型受信機を国王たちに見せた。アリアは、王女が自分の放送をこれほど喜んでくれたことに、安堵と、温かい喜びを感じていた。


女王は、フローラ王女の話を聞きながら、アリアに視線を向けた。その瞳の奥には、深い洞察と、そして新たな発見への驚きが宿っていた。


「アリア・リンドバーグ。貴女は、その『放送』という魔法で、フローラの不安な心を癒したのですね。貴女の魔法は、情報伝達だけでなく、人々の心に寄り添い、希望を与える力を持っている。本当に、素晴らしい才能です」


女王の言葉には、アリアの「声聞魔法」が持つ、心を癒す力への深い理解と、惜しみない称賛が込められていた。


先代の王も、静かに頷いた。


「心を癒し、不安を鎮める……。それは、この乱れた世において、最も必要とされる力の一つかもしれんな」


国王もまた、女王と先代の王の言葉を聞き、アリアの「声聞魔法」が持つ新たな側面、その「精神的な価値」に気づき始めていた。


「アリア様、これからも、わたくしのために、また、王宮の皆のために、その優しい声を届けてくださいますか?」


フローラ王女は、アリアの目を見つめ、懇願するように言った。その言葉には、王女としての立場を超え、一人の友人としての切なる願いが込められていた。


アリアは、力強く頷いた。


「はい、王女殿下。喜んで」

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