表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/173

夕日の輝き、王宮への報告

リンドバーグ家を後にした王室の馬車は、王都へと続く道を静かに進んでいた。馬車の窓からは、西の空を赤く染める夕日が差し込み、車内を暖かく照らしている。


フローラ王女は、掌に握りしめた虹色の響鳴石を、その夕日にかざしていた。光を受けるたびに、石は七色の輝きを放ち、まるで小さな虹が王女の手に宿ったかのようだ。その輝きを見つめながら、フローラ王女は、今日一日あった出来事を、一つ一つ鮮明に思い出していた。


アリアという、黒髪と真っ赤な瞳を持つ少女。控えめでありながらも、その心には揺るぎない優しさと、純粋な好奇心が宿っていた。庭で歌ったアリアの歌声は、王女の心を温かく包み込み、そして、無数の小鳥たちがアリアの周りに集まり、最終的には自分の肩や膝にも止まってくれた、あの奇跡のような光景。


(アリア様は、本当に「森の精霊に愛された少女」なのだわ……)


王宮での厳格な教育と、華やかな社交界の裏表を知るフローラ王女にとって、アリアの純粋な心と、自然との調和は、何よりも新鮮で、心を震わせるものだった。あの時、アリアが歌っていた優しい歌が、今も耳の奥で響いているようだった。


馬車が王宮へと到着し、フローラ王女は先代の王が待つ執務室へと向かった。先代の王は、孫娘の顔に普段以上の喜びと輝きが満ちていることに気づき、優しく微笑んだ。


「フローラ、おかえり。リンドバーグ家での滞在は、楽しかったかね?」


先代の王の問いかけに、フローラ王女は、はちきれんばかりの笑顔で頷いた。


「はい、おじい様!本当に、素晴らしい一日でしたわ!アリア様は、噂通り、いえ、噂以上に素晴らしい方でした!」


フローラ王女は、興奮冷めやらぬ様子で、今日リンドバーグ家で起こった出来事を、詳細に語り始めた。


「アリア様が庭で歌を歌われると、森中の小鳥たちが集まってくるのです!わたくしの肩にも、膝にも、小さな鳥たちが止まってくれて……!あんなに愛らしい光景、見たことがありませんでしたわ!」


フローラ王女は、その時の感動を伝えようと、身振り手振りを交えながら話した。そして、アリアから贈られた虹色の響鳴石を、大切そうに差し出した。


「そして、これはアリア様からの贈り物ですの!とても美しい響鳴石で、夕日に当てると、こんなにも七色に輝くのですわ!」


先代の王は、孫娘の純粋な喜びの表情と、虹色の響鳴石に目を向け、静かに頷いた。彼は、アリアの持つ「森の精霊に愛された少女」という噂が、単なる作り話ではないことを確信した。そして、その才能が、王族の娘であるフローラ王女に、これほどの感動と喜びを与えたことに、深く感銘を受けていた。


「うむ。それは、まことに素晴らしい贈り物だ。アリア殿は、確かに特別な力を持っておるようだ」


先代の王は、そう言うと、フローラ王女の頭を優しく撫でた。


「フローラ。アリア殿とは、これからも親交を深めなさい。彼女は、貴女にとって、きっと良い友人となるだろう」


「はい、おじい様!アリア様は、わたくしの大切な友人ですわ!」


フローラ王女は、満面の笑顔で答えた。彼女の心には、アリアとの友情と、虹色の響鳴石が、これからの王宮での生活に、新しい輝きを与えてくれる予感に満ちていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ