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虹色の贈り物、王女の新たな宝物

フローラ王女とアリアの友情が芽生えた庭での出来事は、その場にいた全ての人々の心に深く刻まれた。特にフローラ王女は、小鳥たちとの純粋な触れ合いに、これまでにないほどの喜びと感動を覚えていた。王宮での生活では決して味わえない、自然との一体感。アリアの歌声がもたらす、神秘的な共鳴。


しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、王女が王宮へと帰る時間が訪れた。玄関には、アレクサンダーとエリザベス、バルドリックとセレーネ、セレスティ、そしてアリアが並んで見送りに立っていた。ライナー先生も、王女の馬車へと案内するために、同行していた。


「アリア様。今日は本当にありがとうございましたわ!貴女様との時間は、わたくしの心を、とても温かくしてくれました」


フローラ王女は、名残惜しそうにアリアの手を取り、にこやかに微笑んだ。その瞳には、まだ小鳥たちとの興奮が残っているようだった。


「こちらこそ、王女殿下が喜んでくださって、とても嬉しいです」


アリアも、王女が心から楽しんでくれたことに、安堵と喜びを感じていた。


その時、アリアは、懐に忍ばせていた小さな巾着袋を、そっと取り出した。巾着の中には、ごく稀にしか見つからない、特別な響鳴石が入っている。それは、通常の響鳴石が単色の輝きを放つのに対し、光の角度によって虹色に輝く、非常に美しい石だった。アリアが、ポルンと共に森の奥深くで偶然見つけた、とっておきの宝物だ。


「あの、王女殿下。これは、私からの、ほんの気持ちなのですが……」


アリアは、少し恥ずかしそうに、その巾着袋をフローラ王女に差し出した。王女が喜んでくれるかどうか、分からなかったが、今日の感謝と、友情の証として、何か特別なものを贈りたかったのだ。


フローラ王女は、差し出された巾着袋を、不思議そうな表情で受け取った。そして、紐を解き、中に入っていた石を見た瞬間、彼女の目は驚きに大きく見開かれた。


「まあ!これは……!」


虹色に輝く響鳴石は、王宮の豪華な宝石にも引けを取らないほどの、神秘的な美しさを放っていた。光を受けるたびに、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫と、七色の光が瞬く。


「この石は……響鳴石、ですわね?ですが、こんなにも美しい輝きを放つものは、初めて見ましたわ!」


フローラ王女は、目を輝かせながら、その虹色の響鳴石を掌に乗せ、じっと見つめた。彼女は、バルドリックやライナー先生から、響鳴石が魔力の共鳴を助ける石だと聞いていたため、その価値を瞬時に理解した。そして、この石が、アリアの「声聞魔法」と深く関わっていることを察したのだ。


「はい。森の奥で、ポルンと見つけた、特別な響鳴石なんです。王女殿下が、喜んでくださるか分からなくて……」


アリアが、不安げに呟くと、フローラ王女は、その虹色の響鳴石を大切そうに両手で包み込み、満面の笑顔でアリアに語りかけた。


「もちろんですわ、アリア様!こんなにも美しい贈り物、本当に嬉しいです!貴女様の友情の証として、大切にいたしますわ」


フローラ王女の言葉に、アリアは安堵し、心からの笑顔を見せた。王女は、アリアの贈り物が、単なる美しい石ではなく、二人の間に芽生えた友情の象徴であること、そしてアリアの特別な魔法と繋がっていることを理解していたのだ。


バルドリックとセレーネも、フローラ王女が虹色の響鳴石をこれほど喜んでくれたことに、安堵の表情を浮かべていた。アレクサンダーとエリザベスも、娘の思わぬ行動と、それが王女に受け入れられたことに、内心で驚きつつも喜んでいた。ライナー先生は、フローラ王女が響鳴石に深い興味を示したことに、学術的な関心を抱き、今後の研究の可能性を秘めていると感じていた。


「アリア様。いつか、この虹色の響鳴石を使って、貴女様の歌を、王宮でも聞かせてくださいますかしら?」


馬車の扉が閉まる直前、フローラ王女は、アリアにそう語りかけた。その言葉には、遠い未来への希望と、アリアの「放送」への確かな期待が込められていた。


「はい!きっと!」


アリアは、力強く頷いた。王女との友情、そして虹色の響鳴石。それは、アリアの「放送」が、やがて王宮の壁をも越え、王国全体に響き渡る、その未来への、確かな約束となったのである。

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