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精霊の祝福、王女の友情

客間での会話で打ち解けたフローラ王女とアリアは、セレーネとライナー先生の案内で、リンドバーグ家の庭へと向かった。フローラ王女は、アリアの「森の精霊に愛された少女」という噂の真偽を、その目で確かめたかったのだ。


庭の奥、あの大きな古木の根元にたどり着くと、アリアはいつものように、そっと腰を下ろした。フローラ王女も、アリアの隣に優雅に座った。バルドリックとアレクサンダー、エリザベス、そしてセレスティも、少し離れた場所からその様子を見守っていた。


アリアは、ポルンを肩に乗せ、ゆっくりと目を閉じ、心の奥底から湧き上がる優しい歌を口ずさみ始めた。それは、アリアが「家内放送」で歌っている、この地に伝わる古くからの民謡だった。ごく微量の「声聞魔法」が込められたその歌声は、風に乗って庭中に広がり、小鳥たちの心を優しく包み込んでいく。


すると、庭の木々から、一羽、また一羽と、小鳥たちが集まり始めた。最初の一羽がアリアの指先に止まると、アリアはにこりと微笑んだ。その笑顔に引き寄せられるように、さらに多くの小鳥たちが舞い降りてくる。青い鳥、黄色い鳥、赤い鳥。色とりどりの小鳥たちが、アリアの周りを飛び交い、彼女の頭や肩、腕に止まって、賑やかなハーモニーを奏で始めた。


フローラ王女は、その光景に、驚きと感動で目を丸くした。噂で聞いていた以上に、幻想的で美しい光景だった。そして、その小鳥たちの群れの中から、一羽の小さなヒバリが、恐れることなくフローラ王女の肩に舞い降りた。続いて、別のシジュウカラが、彼女の膝にちょこんと止まったのだ。


「まあ……!」


フローラ王女は、驚きに声を上げたが、その表情には、喜びと感動が満ち溢れていた。彼女の肩に止まったヒバリは、澄んだ声でさえずり、膝のシジュウカラは、王女の指先を優しくつついた。王族であるフローラ王女に、何の警戒心もなく小鳥たちが集まってくる。それは、アリアの魔法が、単なる動物を操る力ではなく、純粋な心に共鳴し、生命を惹きつける力であることを示していた。


アリアは、そんなフローラ王女の姿を見て、満面の笑顔を向けた。


「みんな、フローラ王女殿下も、優しい方だって分かってるんですね」


アリアの言葉に、フローラ王女は感動のあまり、目に涙を浮かべた。王宮の厳かな生活の中では、決して味わうことのできない、自然との純粋な触れ合い。そして、この温かい、不思議な感覚。


フローラ王女は、そっと肩のヒバリを撫で、アリアの方を真っ直ぐに見て、力強く宣言した。


「アリア様。わたくし、貴女様を、わたくしの友人だと、認めますわ!」


その言葉は、王族の娘が、貴族の娘に、公に友情を誓うものだった。バルドリック、セレーネ、アレクサンダー、エリザベス、そしてセレスティとライナー先生。その場にいた誰もが、フローラ王女の突然の、しかし心からの宣言に、驚きを隠せない。


「王女殿下……」


アリアは、まさか王女から「友人」と認められるとは思ってもみなかったため、感動で言葉を失った。


バルドリックは、その光景を静かに見守り、深く頷いた。フローラ王女のこの宣言は、アリアの「声聞魔法」が持つ真の価値を、王族に理解してもらう上で、何よりも雄弁な証拠となるだろう。セレーネも、孫娘が王女と心を通わせたことに、温かい涙を流していた。


ライナー先生は、フローラ王女の肩に止まる小鳥たちを、学術的な好奇心と、可愛らしいもの好きという両方の視点から見つめ、感動に打ち震えていた。彼の脳裏には、アリアの「声聞魔法」が、王国の未来を大きく変える可能性が、より鮮明に描き出されていた。

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