表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/173

王族の訪問、未来への邂逅

王都に滞在しているバルドリックとセレーネのもとには、レオとセレスティ、二人の孫が貴族院で目覚ましい活躍をしているという嬉しい知らせが、日々舞い込んできていた。特に、セレスティが首席を維持していること、そしてレオが剣術と魔法で常にトップの成績を収めていることは、リンドバーグ家、ひいてはバルドリック自身の名声をも高めるものだった。


「レオもセレスティも、本当に誇らしい孫たちだ。リンドバーグ家も、安泰だな」


バルドリックは、セレーネと共に、王都の邸宅の庭で、穏やかな午後の陽光を浴びながら、そう呟いた。セレーネも、孫たちの成長を心から喜び、その表情には深い愛情が滲んでいた。


「ええ、本当に。二人とも、私たちの期待をはるかに超えて、立派に成長してくれました」


そんな二人の元へ、執事が慌ただしく駆け寄ってきた。


「バルドリック様、セレーネ様!大変恐縮でございますが、急なご来客が!」


執事の言葉に、バルドリックはわずかに眉をひそめた。事前にアポイントのない来客など、通常はありえない。


「急な来客、だと?誰だね?」


執事が恐縮しきった様子で、しかし誇らしげに告げた。


「は、はい。先代の王陛下と、そのお孫様であらせられる、フローラ王女殿下がお見えでございます!」


その言葉に、バルドリックとセレーネは、驚きに目を見開いた。先代の王、そして現国王の娘であり、アリアと同い年のフローラ王女。彼らが、まさかアポイントなしで訪ねてくるとは。


「な、なんと……!すぐに客間へご案内するように!私もすぐに向かう!」


バルドリックは、慌てて立ち上がった。セレーネも、身だしなみを整えながら、急いで客間へと向かった。


客間に入ると、そこには、穏やかな笑みを浮かべた老紳士と、その傍らに立つ、可憐な少女の姿があった。老紳士こそが、この国の先代の王であり、その少女がフローラ王女だった。フローラ王女は、金色の髪を美しく編み込み、瞳は空のように澄んだ青色をしていた。彼女は、バルドリックの顔をじっと見つめ、興味深そうな眼差しを向けていた。


「バルドリック殿、久しぶりだな。突然の訪問、許してほしい」


先代の王は、威厳の中にも温かさを感じる声で語りかけた。


「陛下、とんでもございません。このような身に余る光栄、恐縮いたします」


バルドリックは、深々と頭を下げた。セレーネも、恭しく挨拶を交わす。


「ご心配なさるな。近頃、そなたの孫たちが貴族院で目覚ましい活躍をしていると聞き、嬉しくなってな。特に、セレスティ殿の首席という快挙は、わしも耳にしておる。そして、このフローラが、そなたのもう一人の孫娘と同い年だと聞いて、親睦を深めたいと申すものでな」


先代の王は、そう言ってフローラ王女の方に目を向けた。フローラ王女は、バルドリックとセレーネに、にこやかに微笑んだ。


「バルドリック様、セレーネ様。ごきげんよう。アリア様は、お元気でいらっしゃいますか?わたくし、リンドバーグ家のお嬢様が、庭で小鳥たちと戯れているという噂を耳にしておりまして、とても興味を持っておりますの」


フローラ王女の言葉に、バルドリックとセレーネは、改めて驚きを隠せない。アリアの「森の精霊説」の噂が、まさか王族の耳にまで届いているとは。


「アリアは、幸い元気でございます、王女殿下」


セレーネが、優雅に答えた。バルドリックは、フローラ王女の言葉に、内心で深く思案していた。アリアの能力は、単なる貴族の噂話に留まらず、王族の関心をも引くほどになっている。それは、アリアの魔法が持つ影響力の大きさを物語っていた。


先代の王とフローラ王女の訪問は、リンドバーグ家にとって、そしてアリアの「声聞魔法」の物語にとって、予期せぬ、しかし大きな転機を予感させるものだった。王族との邂逅が、アリアの「放送」を、やがて王都の、そして王国の隅々へと広げる、大きな波紋の始まりとなるかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ