称賛の輪、貴族院の注目
セレスティ・リンドバーグが貴族院で首席の成績を収めたというニュースは、瞬く間に学内を駆け巡り、王都の社交界にも伝わった。特に、癒しの魔法という、どちらかといえば地味とされがちだった分野での卓越した才能は、多くの貴族たちの注目を集めた。
昼食のため食堂に向かうセレスティの周りには、多くの同級生たちが集まっていた。
「セレスティ様、首席になられたと聞きましたわ!本当に素晴らしいです!」
「癒しの魔法の実技も完璧だったと、教授が絶賛していらっしゃいましたよ!」
同級生からの称賛の言葉に、セレスティは少し照れながらも、謙虚に答えた。
「ありがとうございます。まだまだ未熟ですが、これからも精一杯努力いたします」
そんなセレスティの元に、母エリザベスのお茶会友達の娘たちが声をかけてきた。アガサ・クロフォード夫人の娘であるエレノア、イザベラ・ハートフィールド夫人の娘であるベアトリス、そしてグレイス・ウッドブリッジ夫人の娘であるキャサリンだ。彼女たちもセレスティと同じ学年に在籍しており、皆、首席という成績に驚きを隠せない様子だった。
「セレスティ様、本当に素晴らしい成績ですわ!母も、貴女様が首席を取られたと聞いて、大変喜んでおりました」
エレノア・クロフォードが、華やかな笑顔でセレスティに話しかけた。彼女は、王都の流行に敏感で、社交的な性格だ。
「貴女様の癒しの魔法は、まるで光が降り注ぐようです。私、実技演習で貴女様が魔法を使われた時、心がとても穏やかになりましたわ」
ベアトリス・ハートフィールドが、知的な雰囲気を漂わせながら、熱い視線をセレスティに送った。彼女は、芸術や学問を愛するイザベラ夫人の娘らしく、繊細な感性を持っていた。
「ええ、本当に。貴女様の魔法は、まるで慈愛に満ちた女神のようです。私も、いつか貴女様のように、人々の心を癒せる魔法使いになりたいですわ」
キャサリン・ウッドブリッジが、穏やかな笑顔で続けた。彼女は、母親譲りの慈悲深さを持ち、困っている人を助けたいと願う優しい少女だった。
セレスティは、彼女たちの純粋な称賛に、心から感謝した。
「皆様、ありがとうございます。これからも、精一杯励んでまいります」
さらに、セレスティの元には、兄レオの友人であるセドリック・ヴァーノンの妹、ルシア・ヴァーノンもやってきた。ルシアもまた、貴族院で学び、兄同様に魔道具の知識に長けていた。
「セレスティ・リンドバーグ殿。貴女の首席という成績、見事でした。特に、魔力の微細な制御に関する理論的考察は、教授陣の間でも高く評価されています。私の兄、セドリックも、貴女の才能には一目置いているようです」
ルシア・ヴァーノンは、冷静沈着な兄と似た、理知的な雰囲気でセレスティに称賛の言葉を贈った。彼女の言葉には、学術的な評価が込められており、セレスティは、その言葉に、自身の努力が正当に評価されたことを感じた。
「ルシア様、ありがとうございます。セドリック様にも、よろしくお伝えください」
セレスティは、同級生たちからの称賛の言葉に、新たな決意を固めていた。彼女は、王都の貴族院で、リンドバーグ家の名に恥じぬよう、そして自身の魔法をさらに磨き上げるために、勉学に励むことを誓った。
この日、セレスティの首席という成績は、彼女自身の才能を広く知らしめるだけでなく、王都の社交界に、リンドバーグ家の娘たちの秘めたる可能性を改めて印象付けることとなった。そして、それはやがて、遠く実家にいるアリアの「家内放送」が、外部の世界へと広がるための、小さな、しかし確かな布石となっていくのである。




