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姉の旅立ち、新たな学びの扉

アリアは10歳になり、セレスティは12歳の誕生日を迎えていた。ライナー先生の指導のもと、姉妹はそれぞれの才能を伸ばし続けていた。セレスティは、その繊細な魔力操作と癒しの魔法をさらに洗練させ、学業においても貴族院のカリキュラムを軽々とこなすほどの優秀さを見せていた。アリアもまた、「家内放送」を日課とし、ライナー先生との研究を通じて「声聞魔法」の理解を深めていた。階層構造魔力回路の応用実験も順調に進み、その効率性と安定性は目覚ましいものがあった。


そして今、リンドバーグ家では、セレスティの貴族院入学に向けた準備が本格的に進められていた。貴族院は、王国中の優れた才能を持つ若者たちが集う最高学府であり、ここを卒業することは、将来の貴族としての地位を確固たるものにする上で非常に重要だった。


ある日の午後、セレスティは王都の仕立て屋から届けられた真新しい制服を身につけ、鏡の前に立っていた。深い紺色の生地に金糸の刺繍が施された制服は、彼女の金色の髪と青い瞳によく似合っている。エリザベスは、誇らしげに娘の姿を見つめていた。


「まあ、セレスティ。とてもお似合いよ。貴族院の制服は、貴女のために作られたかのようだわ」


エリザベスの言葉に、セレスティははにかんだように微笑んだ。喜びと、わずかな緊張が入り混じった表情だった。


その様子を、部屋の隅でアリアが見つめていた。姉の晴れやかな姿に、アリアは心から誇らしく感じた。幼い頃から、いつも自分のことを支え、守ってくれた優しい姉。その姉が、いよいよ大きな舞台へと羽ばたこうとしている。


(お姉様、とっても素敵……)


アリアは、心の中で呟いた。同時に、レオ兄様が王都へ旅立った時と同じような、少しばかりの寂しさが胸に去来する。今でこそ「家内放送」という自分の居場所を見つけたアリアだが、やはり姉が遠くへ行ってしまうのは、寂しいものだった。


その日の夕食時、アレクサンダーは、セレスティの貴族院入学について、改めて家族に話した。


「セレスティ。貴族院での学びは、リンドバーグ家にとっても重要な意味を持つ。勉学に励み、将来の家門に貢献できるよう、精一杯努めるのだぞ」


アレクサンダーの言葉は、厳格ながらも、娘への大きな期待が込められていた。


「はい、お父様。必ずや期待に応えてみせます」


セレスティは、まっすぐな瞳で答えた。彼女の心には、リンドバーグ家の名誉を背負うという、強い決意が宿っていた。


食後、ライナー先生は、セレスティに貴族院での生活について、いくつかの助言を与えた。


「セレスティ様。貴女の癒しの魔法の才能は、貴族院でも高く評価されるでしょう。しかし、学術的な探求は、常に疑問を持つことから始まります。決して常識にとらわれず、自身の目で真理を見極めることを忘れないでください」


ライナー先生の言葉は、セレスティの心に深く響いた。彼は、セレスティの才能を認めつつも、彼女自身の思考を促すような、導き方をしてくれる。


「そしてアリア様」


ライナー先生は、アリアの方へ視線を向けた。


「セレスティ様が貴族院へ行かれても、貴女の『声聞魔法』の研究は、これまでと変わらず続けていきましょう。むしろ、セレスティ様が王都の貴族院で得た新しい情報が、貴女の『放送』に新たな風を吹き込むかもしれません。貴女の才能もまた、この世界の未来を大きく変える可能性を秘めているのですから」


ライナー先生の言葉に、アリアは、離れていく姉への寂しさを感じつつも、自分の研究が続いていくこと、そしてそれが姉とも繋がっていくことに、温かい希望を感じた。


「はい、先生!私、頑張ります!」


アリアは、力強く頷いた。セレスティは、そんな妹の成長を優しく見守りながら、心の中で、アリアの未来が、光り輝くものでありますようにと願った。


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