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声の起源、広がる疑問

ライナー先生による午前中の授業は、セレスティが書斎で受けていた。アリアは自室で、午後の授業に備えつつ、昨日ライナー先生から教わった「魔力の質」と「生命との共鳴」について考えていた。自身の「声聞魔法」が、単なる魔力操作ではなく、生命そのものに働きかける力だと知って以来、アリアは自分の能力に対して、より深い探求心を抱くようになっていた。


机の上には、木箱型のラジオ送信機が置かれている。アリアは、その質素な箱をじっと見つめていた。この箱から、自分の声が屋敷中に響き渡り、人々に物語や情報を届けている。そして、この魔法によって、小鳥たちが集まり、フクロウたちが情報を伝えてくれる。


「(私の声……)」


アリアは、そっと自分の喉元に触れた。この身体から発せられる声が、魔力と響鳴石を通じて、形を変えて遠くまで届く。不思議で、そして何よりも、自分だけが持っている特別な力。


しかし、ふと、アリアの心に一つの疑問が浮かんだ。


「この『声を遠くに届ける魔法』って……私にしか使えないものなのかな?」


アリアは、ポルンが止まっている肩に視線を向けた。ポルンは、アリアの心の声を読み取っているのか、ルビー色の瞳を瞬かせた。


(アリアだけがつえる、とくべつなまほうでしょ?)


ポルンの心の声が、アリアに響く。しかし、アリアの疑問は、それだけでは解決しなかった。


たしかに、自分は「声聞魔法」を自力で発見し、応用した。魔力量は平均以下でも、ごく微量の魔力で長時間使えるという、自分に合った形で発現している。だが、もし、他の誰かが、自分とは異なる方法で、声や音を遠くに届ける魔法を使っていたとしたら?あるいは、この「声聞魔法」の原理を理解すれば、別の誰かが、それを再現したり、もっと大きな規模で使ったりすることもできるのだろうか?


アリアの脳裏には、ライナー先生の言葉が蘇った。


「魔力の質が、生命そのものの根源に深く関係しているからに違いありません!」


もし、その「質」が、誰にでも備わっているものだとしたら?ただ、それに気づいていないだけで、誰にでも「声聞魔法」の芽があるとしたら?


アリアは、送信機に手を置いた。自分の声が、この木箱を通じて、電波のように広がる感覚。それは、前世の記憶にある「ラジオ」と、あまりにも似ていた。ラジオは、誰にでも聞くことができた。そして、誰かが放送局で声を届けていた。


もし、この世界にも「放送局」のような場所ができたら?たくさんの人が、色々な場所から声を届けて、もっとたくさんの人がそれを聞けるようになったら?


アリアの想像は、リンドバーグ家という小さな枠を超え、広大な世界へと広がり始めた。自分の魔法が、自分だけのものなのか、それとも、もっと大きな可能性を秘めているのか。この漠然とした疑問は、アリアの心の中で、新たな探求の火を灯し始めていた。


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