賢者の探求、生命の響き
前中のセレスティへの授業が終わり、昼食を挟んで、いよいよアリアへの授業の時間となった。アリアは、今日の午前中に庭で起こった出来事を、早くライナーに話したいと心待ちにしていた。しかし、ライナーもまた、あの庭の光景を目の当たりにして、興奮冷めやらぬ様子だった。
アリアの部屋に入ったライナーは、いつも以上に前のめりな姿勢で机に座った。
「アリア様!午前の出来事について、詳しくお聞かせいただけますか!」
ライナーは、銀縁の眼鏡の奥で目を輝かせながら、アリアに問いかけた。アリアは、少し驚きながらも、セレーネと庭で話していたこと、そして歌を口ずさんでいるうちに、たくさんの小鳥たちが集まってきたことを説明した。
「私が歌っていると、いつの間にか、たくさんの小鳥たちが私の周りに集まってきてくれて……。みんな、とても可愛くて、私に色々なことを教えてくれたの」
アリアが話すと、ライナーはノートにびっしりとメモを取り始めた。
「やはり……やはりそうでしたか!貴女の『声聞魔法』は、単なる音の伝達に留まらない。生命そのものに働きかけ、その心を惹きつけ、共鳴させる力を持っている!」
ライナーは、まるで世紀の発見をした科学者のように興奮していた。
「魔力は、この世界のあらゆる生命に宿るものです。貴女の魔法は、その生命の魔力に直接働きかけ、コミュニケーションを可能にする。それが、動物たちが貴女に情報を伝え、貴女の歌声に惹きつけられる理由なのでしょう」
ライナーは、さらに黒板に森の地図と、小鳥たちが集まった場所、そしてアリアが歌っていた曲名などを書き込み始めた。
「この現象は、従来の魔法理論の常識を覆します。魔力量が少なくても、これほどの力を発揮できるのは、その魔力の『質』が、生命そのものの根源に深く関係しているからに違いありません!」
ライナーは、アリアの「声聞魔法」が、ただの「珍しい魔法」ではなく、この世界の生命の理そのものに関わる、根源的な力であると確信し始めていた。彼の頭の中では、新たな研究テーマの構想が、次々と湧き上がっていた。
「アリア様、貴女が動物たちから得た情報、そして彼らが貴女の歌声に惹かれる原理について、より深く探求していきましょう。これは、貴女の魔法を理解するだけでなく、この世界の生命の秘密を解き明かす鍵となるかもしれません!」
ライナーは、アリアに、小鳥たちが集まってきた時の魔力の感覚、彼らが何を伝えてきたか、そして歌っていた時の心の状態など、より詳細な情報を質問していった。アリアもまた、自分の魔法がそんなにも奥深いものだったのかと、新たな発見に胸を躍らせた。
「はい、先生!私、もっと色々なことを知りたいです!」
アリアの真っ赤な瞳は、知的好奇心に満ち溢れていた。ポルンも、アリアの熱意を感じ取り、嬉しそうに小さな鳴き声を上げた。




