古き友の微笑み、孫たちの輝き
ブライアウッド公爵邸での、重く、そして決定的な会談を終えた先代の王陛下とバルドリック・リンドバーグは、安堵の息をついた。彼らの威厳ある訪問は、公爵家の無用な報復の芽を摘み取り、リンドバーグ家、ひいては王国の安定を守ることに成功した。
「コンラートも、あれでようやく諦めがついたことだろう。全く、あの公爵は、いつまで経っても頑固でいかんな」
バルドリックが、肩の荷が下りたように、小さくため息をついた。
「うむ。だが、王国の重鎮として、ああまで頑ななのも、致し方あるまい。しかし、孫娘への思いは、皆同じだ」
先代の王陛下は、穏やかに微笑んだ。彼の言葉には、公爵の心情への理解と、そして孫娘を想う親としての共感が込められていた。
二人は、王宮へ戻る前に、貴族院へと立ち寄ることにした。そこには、バルドリックの孫であるレオとセレスティ、そしてアリアが学び、先代の王陛下の孫娘であるフローラ王女も在籍している。厳しい公務と、公爵家との対峙で張り詰めていた二人の顔には、貴族院の門をくぐる頃には、優しい「おじいちゃん」の表情が浮かんでいた。
貴族院の中庭では、授業の合間の休憩時間で、多くの生徒たちが談笑していた。その中には、レオとセレスティの姿も見えた。レオは、友人たちと剣術の議論を交わし、セレスティは、友人たちと癒しの魔法に関する考察を深めていた。二人の孫は、それぞれの分野で、貴族院の中心として輝いている。
バルドリックは、その光景を遠くから眺め、満足げに目を細めた。
「レオもセレスティも、本当に立派に育ったものだ。貴族院でも、多くの後輩たちに慕われているようだしな」
バルドリックの言葉に、先代の王陛下も深く頷いた。
「うむ。セレスティ殿の癒しの魔法は、以前にも増して輝きを増していると聞く。そして、レオ殿の剣術も、見事なものだ。次代の王国を担うべき、頼もしい若者たちだな」
二人の祖父は、孫たちの成長を心から喜び、互いにその活躍を称え合った。彼らは、王国の重鎮という立場を忘れ、ただの「孫を愛するおじいちゃん」に戻っていた。
その時、中庭の片隅で、フローラ王女が、アリアと共に座っているのが見えた。フローラ王女は、アリアから贈られた虹色の響鳴石のペンダントを撫でながら、アリアが語る物語に耳を傾けている。アリアの周りには、いつものように小鳥たちが集まってきて、優しくさえずっている。その光景は、あまりにも幻想的で、平和なものだった。
「フローラも、アリア殿といると、本当に楽しそうだ。あの娘が、あんなに心から笑う姿は、王宮ではなかなか見られぬからな」
先代の王陛下は、フローラ王女の満面の笑顔を見て、優しく目を細めた。彼の心には、アリアの「王国放送」が、孫娘の心にもたらした癒しと、新たな学びの喜びへの感謝が満ちていた。
バルドリックもまた、アリアとフローラ王女の姿を見て、深く頷いた。
「アリアも、すっかり貴族院の『黒髪の妖精』として、皆に慕われているようです。フローラ王女殿下とも、良い友人として、互いに支え合っている」
バルドリックの言葉には、アリアが表舞台に出てこなくても、その存在が、貴族院に、そして王宮に、大きな影響を与えていることへの、深い誇らしさが込められていた。
二人の老紳士は、孫たちの輝かしい未来を確信し、互いの孫の可愛らしさを語り合った。彼らは、王国の平和と繁栄を陰ながら支える重鎮であると同時に、孫の成長を何よりも喜ぶ、温かい「おじいちゃん」だった。
アリアの「王国放送」が、王国の未来を築く大きな希望である一方で、その背後では、王国の古き守護者たちが、愛する孫たちと、その未来を守り続けていた。そして、その温かい絆は、王国全体に、新たな希望の光を灯し続けるだろう。




