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王子の裁定、剥がされる仮面

貴族院の中庭での騒動後、ユリウス王子は、アリア、レオ、セレスティの三兄妹を、貴族院の応接室へと呼び出した。ライナー・グレンジャー先生も同席し、厳粛な雰囲気の中で、事情聴取が始まった。ユリウス王子の表情は、終始冷静沈着でありながらも、この異例の事態に、深い探求心が宿っているのが見て取れた。


「リンドバーグの諸君。今回の騒動について、余に包み隠さず話してほしい」


ユリウス王子の言葉に、レオは、悔しさと怒りを滲ませながら、セリーナ・ブライアウッドのセレスティへの嫌がらせについて語った。自身の無力感に苛まれながらも、妹が受けた仕打ちを、克明に報告した。


「セリーナ殿は、セレスティの教科書を隠し、実験用の魔導具を破損させ、果ては花壇を荒らすなど、悪質な嫌がらせを繰り返しておりました。そして、本日、私がそれを諌めようとしたところ、身分を盾に、私たちリンドバーグ家を侮辱したのです」


レオの言葉に、ユリウス王子は静かに頷き、セリーナの言動が、王族として決して許されるものではないことを理解した。


次に、セレスティが、ユリウス王子の問いかけに応じた。


「殿下。わたくしは、セリーナ様から、以前よりこのような嫌がらせを受けておりました。しかし、争いを好まぬ性格ゆえ、殿下や教員の方々に、ご迷惑をおかけしたくなく……」


セレスティは、涙をこらえながら、これまでの経緯を正直に話した。彼女の言葉には、嘘偽りがなく、ユリウス王子の心を動かした。


そして、アリアが、セレスティの手を握りながら、静かに口を開いた。


「ユリウス殿下。セリーナ様の心からは、お姉様への、とても強い『嫉妬の感情』が伝わってきました。そして、その感情が、小鳥たちやカラスたちにも伝わって、私の怒りを呼んでしまったんです……」


アリアの言葉は、その場にいる全員に衝撃を与えた。彼女の「声聞魔法」が、相手の感情を読み取ることができるという、その異質な能力が、再び示された瞬間だった。


「なるほど……。セリーナ殿は、セレスティ殿に対し、『嫉妬』を抱いていたというのか」


ユリウス王子は、アリアの言葉に、深く考え込んだ。彼は、セレスティの才能と人柄に惹かれる自分自身の感情を自覚していただけに、セリーナの嫉妬心という動機に、一定の理解を示した。


その時、ライナー先生が、ユリウス王子の許可を得て、口を開いた。


「ユリウス殿下。実は、私の方でも、セリーナ・ブライアウッド殿の件について、いくつか耳にしております。彼女は、以前からセレスティ様の首席という成績を妬み、時には陰で悪評を流そうと画策していたという報告も、貴族院の教員たちから上がっております」


ライナー先生の言葉は、セリーナの悪事が、単なる偶発的なものではなく、計画的な嫌がらせであったことを示唆していた。彼は、アリアの能力が、王宮の危機だけでなく、貴族院の内部問題をも解決する糸口となることを期待していた。


ユリウス王子は、三兄妹とライナー先生の証言を聞き終えると、静かに目を閉じた。彼の心には、セリーナの傲慢さと、妹フローラがアリアと友情を育んでいることへの不満、そしてセレスティへの嫉妬が、複雑に絡み合っている構図が鮮明に浮かび上がっていた。


「……セリーナ・ブライアウッド殿の行為は、貴族院の秩序を乱し、貴族としての品位を著しく損なうものであり、決して許されることではない」


ユリウス王子の声は、厳しく、そして有無を言わせぬ威厳に満ちていた。彼の言葉は、セリーナの悪事が、白日の下に晒され、断罪されることを意味していた。


その日のうちに、ユリウス王子の指示により、貴族院の教員たちがセリーナ・ブライアウッドへの本格的な調査を開始した。セレスティの友人たちの証言や、破損させられた魔導具の鑑定、花壇の荒らされ方など、様々な証拠が集められていった。


セリーナ・ブライアウッドの悪事は、次々と明らかになっていった。彼女は、ユリウス王子への歪んだ慕情と、セレスティへの激しい嫉妬に駆られ、貴族としての品位を忘れ、卑劣な行為を繰り返していたのだ。


王子の裁定は、公平かつ厳正に下されるだろう。アリアの「声聞魔法」がもたらした直感と、ライナー先生の裏付け、そしてレオとセレスティの勇気ある証言が、セリーナの仮面を剥がし、貴族院の秩序を守ることになる。この騒動は、アリアの「王国放送」が、社会の不正をも正す力を持つことを示し、王国の未来に、新たな正義の光を灯したのである。

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