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傲慢な貴族、兄の無力感

セリーナ・ブライアウッドのセレスティ・リンドバーグに対する冷たい態度は、日を追うごとにエスカレートしていった。最初は無視や陰口程度だったものが、次第に悪質な嫌がらせへと発展していったのだ。セレスティの教科書が隠されたり、実験用の魔導具が破損させられたり、あるいは、彼女が手入れしている花壇の花が踏み荒らされたりすることもあった。


セレスティは、それらの嫌がらせの多くがセリーナによるものだと薄々気づいていたが、証拠がないため、何も言えずにいた。彼女は、争いを避けるために、ひたすら耐え忍んでいた。しかし、その心は深く傷つき、時には貴族院での生活に、疲労を感じることもあった。


そんなセレスティの様子に、友人たちも心を痛めていた。エレノアやキャサリンは、セリーナの嫌がらせを止めるよう、遠回しに忠告することもあったが、セリーナは耳を貸さなかった。


セリーナのセレスティへの嫌がらせは、ついにレオ・リンドバーグの耳にも入った。学友たちが、心配そうにレオに伝えてきたのだ。


「レオ。セリーナ・ブライアウッド殿が、最近、セレスティ殿にひどい嫌がらせをしているらしい。君の妹君のことだから、心配ではないか?」


その話を聞いたレオは、怒りに顔を紅潮させた。セレスティは、自分の大切な妹だ。たとえ自分が以前「落ちこぼれ」と罵っていたとはいえ、彼女が不当な扱いを受けることは決して許せない。


レオは、すぐにセリーナの元へと向かった。彼女は、中庭でセレスティに対しては嫌がらせを行っていた最中だった。


「セリーナ殿!お話しがあります!」


レオは、普段の冷静さを失い、強い口調でセリーナに詰め寄った。周囲の貴族の生徒たちも、レオの剣幕に驚き、二人の様子を固唾を飲んで見守った。


セリーナは、レオの剣幕に、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに冷たい笑みを浮かべた。


「あら、レオ・リンドバーグ殿。何か、私に御用ですの?」


セリーナのその冷ややかな態度に、レオの怒りは頂点に達した。


「セリーナ殿!貴殿が、私の妹、セレスティに、嫌がらせをしていると聞きました!一体、何様のつもりですか!」


レオは、感情を露わにしてセリーナを問い詰めた。


しかし、セリーナは、表情一つ変えずに、レオを冷たい視線で見つめ返した。


「は?嫌がらせ、ですって?私は、リンドバーグ殿が誤解なさっているだけではないかしら。貴族院では、優秀な者が、そうでない者を指導することはよくあること。貴女の妹君が、私の忠告を素直に受け入れられないだけなのではなくて?」


セリーナの言葉は、レオの怒りをさらに煽った。彼女は、自分の行動を「指導」だと嘯き、セレスティの不出来のせいにしようとしている。


「貴殿のしていることは、指導などではない!ただの嫌がらせだ!すぐに止めるべきだ!」


レオは、強い口調でセリーナに詰め寄った。


しかし、セリーナは、その言葉に鼻で笑うと、傲慢な態度でレオを見据えた。


「レオ・リンドバーグ殿。貴殿は、自分の妹君が、貴族院で首席を取ったからといって、舞い上がっていらっしゃるようね。ですが、貴殿の家門は、所詮は辺境の騎士爵家。公爵家である我がブライアウッド家とは、格が違うことをお忘れなさいませ。身の程を弁えなさい」


セリーナの言葉は、レオの喉にぐうの音も出ないほど突き刺さった。彼女は、リンドバーグ家が公爵家ではないことを盾に、レオの身分を侮蔑し、彼を黙らせようとしたのだ。レオは、ブライアウッド公爵家という、王国でも有数の名門貴族の威光を前に、反論の言葉を見つけることができなかった。彼の握りしめた拳は、怒りと、そして無力感で震えていた。


(くそっ……!この、傲慢な女め……!)


レオは、セリーナの傲慢な言葉に、深い屈辱を感じた。セレスティを助けたい一心で乗り込んだが、身分の差という絶対的な壁に阻まれ、何もできない。


セリーナは、レオの反応を見て、満足げに冷たい笑みを浮かべた。彼女の目的は、セレスティを傷つけるだけでなく、ユリウス王子に近寄ろうとする者を、威圧することにあったのだ。

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