表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/173

女王の譲歩、王女の一夜限りの夢

フローラ王女の、放送局の地下休憩スペースで寝泊まりしたいという願いは、女王陛下にとって、容易に受け入れられるものではなかった。王女の安全、そして王族としての体裁。それらは、王国の安定を司る女王にとって、何よりも重要なことだった。


しかし、フローラ王女の願いは、単なるわがままではなかった。彼女の瞳には、アリアへの友情と、国民に寄り添いたいという王族としての使命感、そして、アリアの「放送」を通じて、自分自身がもっと成長したいという、強い決意が宿っていた。その純粋な熱意は、女王の心を深く揺さぶった。


「お母様。アリア様は、あの場所で、王国のために、どれほどの情報を集め、どれほどの思いを込めて、国民の皆様に声を届けていらっしゃるか。わたくしも、その一端に触れたいのです」


フローラ王女は、懇願するように女王に訴えかけた。その言葉には、王族としての義務感だけでなく、一人の少女としての、純粋な憧れが込められていた。


女王は、静かに目を閉じ、深く考え込んだ。アリアの「王国放送」が、フローラにこれほどの変化をもたらしたことは事実だ。娘の成長を願う親として、この願いを完全に無視することはできない。そして、アリアの魔法が、王宮の危機を救い、王国に希望をもたらしていることも、女王は深く理解していた。


やがて、女王はゆっくりと目を開き、厳かでありながらも、優しい声で告げた。


「……フローラ。貴女の熱意は理解しました。しかし、王女たる貴女の安全は、王国の最優先事項です。無許可で王宮を離れることは、決して許されません」


女王の言葉に、フローラ王女は、残念そうな表情を浮かべた。


「ですが、お母様。どうしても……」


フローラ王女が、さらに食い下がろうとすると、女王は静かに言葉を続けた。


「……ただし。もし、護衛騎士団が万全の警備体制を敷き、ライナー・グレンジャー教授が責任をもって貴女の安全を保証できるのであれば。そして、一晩限りという条件であれば……」


女王の言葉に、フローラ王女は、驚きに目を見開いた。


「本当でございますか、お母様!」


「ええ。一晩限りのお試しです。もし、貴女がそこで十分に休息を取り、新たな学びを得られると判断すれば、今後のことについても、改めて検討いたしましょう」


女王の言葉には、娘への深い愛情と、そしてアリアの「王国放送」が持つ、未知の可能性への、かすかな期待が込められていた。


フローラ王女は、感動のあまり、女王に駆け寄り、力強く抱きついた。


「お母様!ありがとうございます!本当に、ありがとうございます!」


女王は、そんな娘の純粋な喜びに、優しく微笑んだ。


その日のうちに、王宮騎士団は、放送局の地下休憩スペースの警備体制を強化するための調査を開始した。ライナー先生も、王女の安全確保のため、地下休憩スペースの魔導具の安全性を再確認し、万全の体制を整えるべく奔走した。そして、アリアにも、フローラ王女が一晩だけ地下の休憩スペースで過ごすことになった旨が伝えられた。アリアは、王女が自分の大切な場所で休息を取ってくれることに、心から喜びを感じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ