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朝の衝撃、要人たちの情報革命

王国記念祭の晩餐会でアリアの「王国放送」の存在に驚愕した各国からの要人たちは、その夜、王宮の自室や滞在する邸宅に戻ってからも、その「不思議な箱」から常に流れる声の存在に戸惑いを隠せないでいた。彼らの多くは、翌朝早くから、その「王国放送」に耳を傾けることになった。


午前7時。


「夜の帳が静かに明け、朝ぼらけの光が世界を包み込む。遠い丘の向こうに、新しい一日の息吹が芽生え、名もなき花が、そっと露を宿すこの朝に。心に希望を抱き、新たな歩みを始める、王国全ての尊き人々へ、この声が届かんことを。」


アリアの詩的な導入に続き、澄んだ声が響き渡る。


「午前七時になりました。リンドバーグのアリアがお届けする、『王国モーニングニュース&天気予報』を開始いたします」


その声に、各国の要人たちは一斉に耳をそばだてた。


「……本日、午前七時現在の王国各地の天気予報をお伝えいたします。王都周辺は、一日中晴天が続く見込みで、洗濯日和となるでしょう。南の海岸地域では、昨日から接近していた低気圧の影響で、午後から強い雨と風が予想されます。漁に出られる方は、十分な警戒をお願いいたします。一方、北の山岳地帯では、早朝の気温が氷点下まで下がり、雪解け水による河川の増水が報告されています。河川敷にお住まいの方々は、念のため警戒を怠らないよう、お願いいたします」


隣国の侯爵は、朝食のパンを口に運ぶ手を止めた。彼の国では、天気予報はせいぜい数日前の情報か、経験豊富な魔法使いによる大まかな予言程度しかなく、これほど詳細で、かつ「本日午前七時現在」というリアルタイムの情報が手に入るなど、想像すらできなかった。


「まさか、一日の始まりに、その日の天気予報が、これほど正確に届けられるとは……!」


侯爵は、驚きに目を見開いた。


続いて、アリアは「王国のニュース」へと移った。


「……次に、王国のニュースをお伝えいたします。昨日未明、東の辺境にある〇〇の森で、大規模な魔物の群れが目撃されました。王宮騎士団と魔法師団が、既に現地に向かっておりますが、周辺住民の皆様は、十分な警戒と、避難経路の確認をお願いいたします。また、王都の城下町では、本日、大通りに新しいパン屋が開店する予定です。特製の蜂蜜パンは、早朝から行列ができるほどの人気を集めているようです」


このニュースは、他国の要人たちにさらなる衝撃を与えた。魔物の出現情報が、これほど早く、しかも王国全土に伝達されているという事実は、彼らの国の危機管理体制と、情報伝達能力との圧倒的な差を浮き彫りにした。国境付近の魔物騒動は、隣国にとって、即座に警戒すべき重要な情報となるからだ。


「魔物の群れが目撃されたという情報が、この朝にはもう全国に……!?信じられん!我が国では、伝令が数日かけて届けば早い方だというのに!」


ある隣国の将軍は、驚きのあまり、テーブルを叩いて立ち上がった。彼らの国では、情報伝達の遅れが、しばしば国境防衛の遅れに繋がり、大きな被害を出すことも珍しくなかった。


「しかも、王都の新しいパン屋の開店情報まで……。何たる情報網だ」


別の外交官は、アリアが伝える日常の些細なニュースにも、その情報収集能力の高さを見抜いていた。王国の細部まで情報が網羅されている事実に、彼らは感服した。


国王陛下は、各国要人たちの驚きと、そして羨望の眼差しを静かに見守っていた。彼の表情には、この「王国放送」がもたらす未来への、確かな手応えが感じられた。


アリアの「王国モーニングニュース&天気予報」は、他国の要人たちにとって、王国が推し進める情報革命の、最も強力な証拠として提示された。彼らは、リンドバーグ家のアリアが開発したこの技術が、単なる珍しい魔法の産物ではなく、国家の安全保障、経済活動、そして国民の生活そのものを根本から変革しうる、計り知れない価値を持つものであることを、この朝の放送でまざまざと見せつけられたのだ。


王国記念祭は、アリアの「王国放送」が、その真価を世界に示し、王国の新たな時代を告げる、歴史的な舞台となった。そして、その波紋は、世界の国々へと、情報革命の始まりを告げるかのごとく、大きく広がり始めていた。

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