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声の響きを捉える箱、最初の受信機

アリアは、自作の木箱型ラジオで自分の声が「広がる」ことを確認し、計り知れない喜びを感じていた。

しかし、すぐに新たな課題に直面する。

この「声」を、誰かに「聞いてもらう」ためには、その声の波紋を捉えるための装置が必要だった。


(私の声は、確かにこの部屋に響き渡っている。でも、これを遠く離れた誰かが聞くためには、どうすればいいんだろう……?)

アリアは、木箱型ラジオを前に、深く考え込んだ。

前世の「ラジオ」は、電波を受信する「受信機」があって初めて機能する。

この世界の「声聞魔法」も、同じはずだ。


「ポルン。ねえ、この広がる『声』を、誰かが聞くための箱って、作れないかな?」

アリアが問いかけると、ポルンは、アリアの言葉の真意を理解したかのように、首を傾げた。


(むずかしい……。でも、アリア、がんばる!)

アリアは、すぐに受信機の開発に取り掛かった。

送信機と同じく、響鳴石が鍵となるはずだ。

響鳴石は、魔力の振動を増幅させるだけでなく、特定の波長の魔力を「感知」する特性も持っているはずだと、アリアは直感した。


彼女は、王都の祖父母の屋敷の書斎から、お祖父様が残していった古の魔術書を借りてきて、魔力の感知や、特定の魔力だけを抽出する術式について読み漁った。

そして、自身の「声聞魔法」の原理と、響鳴石の特性を組み合わせ、受信機の設計図をノートに書き始めた。


(魔力の波紋を捉え、それを音の振動に変換する……。

そして、その音を、聞く者の耳に直接届けるためには……)


アリアは、様々な素材と響鳴石の組み合わせを試した。

小さな木箱に響鳴石を配置し、魔力伝導性の糸で耳に繋ぐ。

しかし、最初はなかなかうまくいかなかった。


ノイズばかりが聞こえたり、アリアの声が途切れてしまったり。

時には、魔力の波紋が強すぎて、不快な耳鳴りを引き起こすこともあった。


(アリア、だいじょうぶ! ポルン、いっしょ!)

ポルンの温かい思念が、アリアの心に力を与える。

アリアは、深呼吸をして、再び受信機の改良に取り掛かった。


そして、数日後。

アリアは、ついに最初の「ラジオ受信機」を完成させた。

それは、手のひらサイズの小さな木箱で、表面には、アリアが魔法陣を模して彫り込んだ模様と、魔力調整用の小さなダイヤルが付いている。

そして、そこから伸びる二本の細い糸の先に、耳に当てるための小さな響鳴石のイヤホンが繋がっていた。


アリアは、緊張と期待で胸を高鳴らせながら、受信機のイヤホンを耳に装着し、ダイヤルをゆっくりと回した。

そして、自作の木箱型ラジオから、自分の声で歌を歌い始めた。


「♪~星の光よ、遠くまで届け~♪」

その瞬間。


イヤホンから、微かな、しかし澄み切ったアリアの歌声が聞こえてきた。

それは、まるで、アリア自身が、自分の耳元で歌っているかのような、不思議な感覚だった。


「ポルン……! できた……! 私の声が、この受信機で聞こえる……!」

アリアは、感動で声を震わせた。

ポルンも、アリアの成功を祝うかのように、「ホーッ!」と力強く鳴いた。


アリアは、この成功を確信すると、さらに三つの受信機を制作した。



こうして、アリアの「声聞魔法」は、送信機だけでなく、受信機という新たな魔導具を得て、その可能性をさらに広げた。



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