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降る夜、届ける「声」が紡ぐ癒し

その日も、アリアの「王国放送」は、朝早くから夜遅くまで、王国全土に「声」を届け続けていた。午前4時の鳥たちからの情報収集から始まり、午前7時の『王国モーニングニュース&天気予報』の統括と解説、日中のライナー先生との研究や放送者たちとの打ち合わせ、そして夜の番組の準備。アリアの毎日は、多忙を極めていた。


午後8時を過ぎた頃、アリアは、ようやく自身の担当番組『眠れぬ夜に、君に寄り添う声』の放送室へと向かった。疲労は感じていたものの、リスナーからの便りに目を通し、今夜語る物語や、届ける歌について考えるうちに、アリアの心は温かい光で満たされていく。


送信機の前で、アリアはゆっくりと目を閉じ、深呼吸をした。そして、王国のどこかで、今夜も眠れずにいる誰かの顔を思い浮かべながら、優しく、しかし心を込めて語りかけた。


「……夜の静寂が深まり、星々が王国の空に瞬くこの時刻。心の中に、小さな不安や寂しさを抱え、なかなか眠りにつけないでいる方もいらっしゃるかもしれませんね。今宵も、リンドバーグのアリアがお届けする、『眠れぬ夜に、君に寄り添う声』。貴女の、貴方の心のそばに、私の声が届かんことを」


アリアの声は、深夜の王国へと、優しく響き渡った。彼女は、リスナーからの便りを読み上げ、彼らの悩みや喜び、日々の出来事に、自分の言葉で寄り添っていく。そして、その合間には、心地よい、穏やかなメロディの歌を歌った。その歌声は、アリア自身の魔力が持つ「心を癒す力」を、そのまま王国中に届けていくかのようだった。


王都の貴族院の宿舎。フローラ王女は、ベッドサイドの受信機から流れてくるアリアの声に、目を閉じて耳を傾けていた。日中の賑やかさとは違う、静かで、しかし温かいアリアの声は、王女の心を安らかにした。

(アリア様……貴女の声は、本当に心を癒してくれますわ……)

フローラ王女は、胸に抱きしめた虹色の響鳴石のペンダントを、そっと握りしめた。


辺境の小さな村の病院。病床で痛みと不安に苦しむ老婦人は、枕元に置かれた受信機から流れてくるアリアの優しい歌声に、安堵の息をついた。

(ああ、アリア様の声は、本当に温かい……この声を聞くと、痛みが和らぐようだ……)

老婦人の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。


王都の城下町。夜遅くまで仕事に追われていた商人ゴードンは、酒場「酔いどれ亭」の片隅で、受信機から流れるアリアの優しい語りかけに、グラスを傾けていた。

(お嬢ちゃんの声を聞いていると、なんだか、明日も頑張れる気がするな……)

ゴードンの心には、温かい光が灯っていた。


アリアは、リスナーからの便りに応え、時には自身の経験を交えながら、人々が日々の生活で抱える小さな不安や、喜びについて語り続けた。そして、午後11時55分。エンディングの時間が訪れた。


「……さて、そろそろ、お別れの時間となりました。今夜、私の声が、貴女の、貴方の心のそばに寄り添うことができたなら、幸いです。夜空の星々が、皆の明日を優しく見守っていますように。そして、明日も、この『王国放送』で、またお会いできることを願って……」


アリアの声は、穏やかな音楽と共に、ゆっくりとフェードアウトしていく。


「深夜0時になりました。リンドバーグのアリアがお届けする、『王国放送』は、これにて終了いたします。また明日、元気にお会いしましょう。おやすみなさい」


アリアの最後の言葉が響き渡り、受信機からは静かなノイズだけが聞こえるようになった。王国全土に、再び静寂が戻る。


アリアは、送信機の前で、深く息をついた。その夜、彼女自身も、自分の声が、多くの人々の心に、本当に届いていることを実感していた。そして、その「声」が、多くの人々を癒し、希望を与えているという事実に、深い喜びと、そして明日への新たな活力を感じていた。

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