暁を告げる「声」、有能なる情報網
「午前七時になりました。リンドバーグのアリアがお届けする、『王国放送』を開始いたします」
アリアの澄んだ声が、王国全土に響き渡ったその瞬間、各地の人々は、驚きと期待、そして一抹の戸惑いを感じながらも、受信機からの「声」に耳を傾けた。そして、アリアの「朝のニュース」が始まった。
「……本日、午前七時現在の王国各地の天気予報をお伝えいたします。王都周辺は、一日中晴天が続く見込みで、洗濯日和となるでしょう。南の海岸地域では、昨日から接近していた低気圧の影響で、午後から強い雨と風が予想されます。漁に出られる方は、十分な警戒をお願いいたします。一方、北の山岳地帯では、早朝の気温が氷点下まで下がり、雪解け水による河川の増水が報告されています。河川敷にお住まいの方々は、念のため警戒を怠らないよう、お願いいたします」
アリアの声は、穏やかでありながらも、淀みなく、正確な情報を伝えていく。王都の城下町では、洗濯物を干そうとしていた主婦が、南の海岸地域の天気予報に耳を傾け、遠方の家族の無事を案じた。北の山岳地帯の村では、早朝から受信機に群がった村人たちが、河川の増水に注意を促す情報に、真剣な表情で頷いた。彼らにとって、これほど詳細でタイムリーな天気予報は、これまで経験したことのないものだった。
続いて、アリアは「王国のニュース」へと移った。
「……次に、王国のニュースをお伝えいたします。昨日未明、東の辺境にある〇〇の森で、大規模な魔物の群れが目撃されました。王宮騎士団と魔法師団が、既に現地に向かっておりますが、周辺住民の皆様は、十分な警戒と、避難経路の確認をお願いいたします。また、王都の城下町では、本日、大通りに新しいパン屋が開店する予定です。特製の蜂蜜パンは、早朝から行列ができるほどの人気を集めているようです」
アリアの声は、緊迫した魔物情報と、心温まる日常のニュースを、巧みに織り交ぜて伝えていく。魔物の出現情報には、軍務省からの緊急連絡が、ライナー先生を通じてアリアに伝えられたものが盛り込まれていた。一方、新しいパン屋の情報は、アリアネットワークのカラスたちからの報告だった。
王都の貴族院では、食堂で朝食をとっていたレオとセレスティが、食堂に設置された受信機から流れるアリアの声に、驚きを隠せない。
「アリアの声だ……。本当に、王国中に届いているのか……」
レオは、妹の放送が、ここまで詳細で、有能な情報を伝えていることに、改めて目を見張った。魔物に関する警告は、軍務省からの正式な情報に基づいていることが、レオにはすぐに理解できた。
セレスティもまた、アリアの声が伝える、王国の危機と、そして日常のささやかな喜びのニュースに、深く感動していた。
「アリアの『放送』は、本当にたくさんの人々の役に立つわ……」
同じく貴族院の食堂で朝食をとっていたフローラ王女は、アリアの放送に耳を傾けながら、感動に胸を震わせていた。
「アリア様の『放送』は、本当に素晴らしいですわ。これほど詳細な情報が、こんなにも早く手に入るなんて……」
フローラ王女は、隣に座っていた友人たちに、そう呟いた。彼女の友人たちも、アリアの放送の有能さに驚きと感銘を受けていた。
アリアの「朝のニュース」は、その正確性、網羅性、そしてタイムリーさにおいて、王国がこれまでに経験したことのない、まさに「有能」な情報源として、国民の間に深く浸透していった。アリアネットワークを通じて集められた情報が、アリアの「声聞魔法」と魔力波塔を通じて、王国全体に届けられる。




