表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/173

声のダイヤグラム、王国を繋ぐ時間割

王国全体を網羅する魔力波塔と中継局の建築が急ピッチで進められる中、アリアは、自身の「放送」が実際に王国全土へと届けられることを想像し、胸を高鳴らせていた。しかし、同時に、大きな責任感も感じていた。王国の公共インフラとなる「放送」のコンテンツを、どのように構成すべきか。


ある日の午後、貴族院の宿舎にあるアリアの部屋で、ライナー先生と研究室の主要メンバーが集まり、今後の「放送」内容について、真剣な議論を交わしていた。部屋の壁に並べられた黒板には、既に王国全体の地図が描かれ、魔力波塔と中継局の配置図が書き込まれている。


「アリア様。魔力波塔が完成すれば、貴女の『声』は、理論上、王国全土に届くことになります。しかし、貴女一人の魔力と体力では、24時間放送し続けることは不可能です。効率的かつ効果的な放送時間と内容を検討する必要があります」


ライナー先生が、現実的な課題を提示した。アリアの「声聞魔法」は、ごく微量の魔力で長時間使用できるとはいえ、無限ではない。


「そうですね……。私も、ずっと放送し続けるのは難しいと思っています」


アリアは、腕を組み、考え込んだ。前世の深夜ラジオのように、常に誰かに寄り添う放送をしたいという思いはあるが、この世界の「放送」は、王国全体の情報インフラとして機能しなければならない。


ロジャーが、実用的な視点から提案した。


「まずは、国民の生活に直結する情報を優先すべきだろう。天気予報や、王都からの公式発表など、重要なニュースを届けることが肝要だ」


エディスも、古文書の知識から補足した。


「古くは、伝令の魔法が使われていたが、それはごく限られた範囲と人物にしか伝わらなかった。王国全土への一斉伝達は、前例のないことだ」


フェリックスが、技術的な観点から意見を述べた。


「魔力波塔の安定稼働と、アリア様の魔力消費を考慮すると、短時間の集中放送が望ましいでしょう」


リリーが、明るい声でアリアを励ました。


「アリア様は、王女様を癒したように、人々の心を温める歌も得意ですもの!そういう放送も、きっと皆、喜んでくれるわ!」


皆の意見を聞いたアリアは、黒板に向かい、チョークを手に、新たな放送の「時間割」を書き始めた。


「まず、朝は、皆が一日を始める前に、大切な情報を届けたいです。だから、『ニュース』と『天気予報』。一日の始まりに、王国の出来事や、その日の天気が分かったら、きっとみんなの役に立つと思うんです」


アリアは、黒板に「午前7時:朝のニュース&天気予報」と書き込んだ。


「そして、お昼の時間には、少しゆっくりできる人もいると思うから……『情報放送』。森の恵みの情報や、珍しい植物、動物の話、あるいは、どこかの村で起こった心温まる出来事などを伝えられたら、みんなの生活が豊かになるんじゃないかなって」


アリアは、次に「午後12時:昼の情報放送」と書き加えた。


「そして、夕方。一日の疲れを癒す時間には……『夕べの物語と歌』。私がお話しする物語や、歌を届けられたら、みんなの心が少しでも安らぐんじゃないかなって思います」


アリアは、最後に「午後5時:夕べの物語と歌」と書き込んだ。


「これなら、私の魔力も無理なく使えると思います。それに、王国の皆が、いつ放送があるか分かるように、時間も決めておけば、聞きやすいはずです」


アリアの提案は、非常に理路整然としており、限られたリソースの中で最大限の効果を発揮する、現実的かつ魅力的なものだった。ライナー先生と研究室のメンバーは、アリアの考案した「声のダイヤグラム」に感銘を受けた。


「素晴らしい、アリア様!貴女は、放送の技術だけでなく、そのコンテンツの企画においても、天才的な才能をお持ちだ!」


ライナー先生は、満面の笑顔でアリアを称賛した。


こうして、アリアの「放送」は、王国全土へと広がるための、具体的な内容と時間割が決定された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ