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王国の羅針盤、未来を語る御前会議

ライナー・グレンジャーから届けられた書状は、王宮に大きな衝撃と波紋を広げた。アリアの「魔力波塔」のミニチュア版が王都への長距離通信に成功したこと、そしてその技術が王国の未来を大きく変える可能性を秘めているという提言は、国王、女王、そして先代の王の心を強く揺さぶった。


その日のうちに、王宮では緊急の御前会議が招集された。会議室には、国王陛下、女王陛下、先代の王陛下、そして魔導具省、情報省、軍務省、財務省など、王国の主要な省庁の代表者たちが厳粛な面持ちで集まっていた。彼らの前には、ライナー先生からの書状と、アリアの「魔力波塔」に関する資料が置かれている。


「本日は、ライナー・グレンジャー教授より提出された、リンドバーグ家のアリア・リンドバーグ嬢に関する報告書について、審議を行う」


国王陛下の厳かな声が、会議室に響き渡った。


「報告書によれば、アリア嬢の『声聞魔法』と、その応用技術である『魔力波塔』は、長距離、広範囲への情報伝達を可能にする、革命的な技術であるという。先日、王宮に魔物が出現した際、アリア嬢の警告が早期対応に繋がり、危機を免れたことは、すでに諸君らも承知の通りだろう」


国王陛下の言葉に、軍務省の代表が頷いた。魔物騒動の際の迅速な対応は、アリアの情報があってこそ可能だったからだ。


続いて、ライナー先生が、会議室へと入室し、改めてアリアの「声聞魔法」と「魔力波塔」の原理、そしてそれが王国にもたらすであろう恩恵について、詳細な説明を行った。彼の説明は、学術的な裏付けと、具体的な実験データに基づいており、会議室に集まった重鎮たちは、その革新性に驚きを隠せない。


「この技術が実用化されれば、辺境の村々との通信網を確立し、災害時の情報伝達を飛躍的に向上させることができます。また、軍事的な情報伝達においても、既存の魔導具を遥かに凌駕する効率性を発揮することでしょう」


ライナー先生の説明に、情報省と軍務省の代表が、真剣な表情で耳を傾けた。彼らは、この技術が持つ、王国全体の情報網を刷新する可能性に、大きな期待を抱いた。


しかし、財務省の代表は、懸念を口にした。


「しかし、魔力波塔の建築、そして全国に中継局を設置するには、莫大な資材と費用がかかることでしょう。王国の財政に、どれほどの負担となるのか、慎重な検討が必要です」


財務省の言葉は、最も現実的な問題だった。


その時、女王陛下が、穏やかな声で口を開いた。


「皆様。私は、アリア殿の魔法が持つ、情報伝達という側面だけでなく、その『心を癒し、繋ぐ』力にも、大きな価値があると考えております。フローラは、アリア殿の『放送』に、心の安らぎと学びの喜びを見出しました。この技術が、王国の民の心に、希望と安堵をもたらすことができるのなら、それは、金銭には代えがたい価値を持つでしょう」


女王陛下の言葉は、会議室に静かな波紋を広げた。彼女は、アリアの魔法が持つ、精神的な価値と、それが国民の士気を高める可能性に、深く着目していたのだ。


先代の王陛下も、女王陛下の言葉に頷き、国王陛下に視線を向けた。


「国王陛下。アリア殿の才能は、この王国の未来を明るく照らす光となるでしょう。彼女の『放送』が、王国の羅針盤となり、民に希望を与え、王国を一つに結びつける力を秘めていると、わしは確信しております」


先代の王陛下の言葉は、国王陛下の心を深く動かした。彼は、深く考え込むように目を閉じた。


そして、ゆっくりと目を開き、力強く宣言した。


「よし。ライナー・グレンジャー教授。貴官の提言を承認する。アリア・リンドバーグ嬢の『魔力波塔』と『放送』の技術を、王国の公共インフラとして、本格的に推進する。魔導具省、情報省、軍務省、財務省は、それぞれの省庁の役割を明確にし、この計画の実現に向けて、全面的に協力せよ!」


国王陛下の決断は、王国の歴史に新たな一ページを刻むものだった。アリアの「声聞魔法」は、もはやリンドバーグ家という小さな枠を完全に飛び出し、王国の未来を築くための、壮大なプロジェクトへと発展していくことになったのである。

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